第3話 転生
「おぎゃぁーおぎゃぁー」
…これは俺の声だろうか。
「ニーナ!元気な男の子だぞ!」
「そうね、あなた!」
…この声は両親のだろうか。
優しくて心地よい声だ。
「あなたの名前はダグラスよ。」
「ダグラス、元気に育ってくれよ!」
俺は転生が成功したことに安心して深い眠りについた。
目を覚ますとそこはきれいな部屋で、メイドが一人いた。
「可愛い…この子を私が育てられると思うととっても嬉しいのです!私はダグラス様の専属メイドのセシリアです。これからよろしくお願いしますね!」
どうやら俺には専属メイドがいるらしい。
前世では無縁の存在だったため変な感じだ。
メイドが部屋を出ると、俺はすぐに現状を把握することに努めた。
まず、家族構成。
ここヴァーリ領の領主であるエドワード父さん
父の秘書をしているニーナ母さん
ヴァーリ領騎士団の団長である祖父
ヴァーリ領魔法騎士団の団長である祖母
8歳で父の手伝いをしている長男で次期領主のアドルフ兄さん
5歳で剣術に優れ次期ヴァーリ領騎士団の団長といわれている次男のテュール兄さん
同じく5歳で魔法に優れ次期ヴァーリ領魔法騎士団の団長といわれている長女のノンナ姉さん
そして俺ダグラス=アイザックの8人家族だそうだ。
次に待望のステータスである。
『ステータス』
俺は心の中で唱えた。
すると、目の前にステータスウィンドウが出てきた。
名前 ダグラス=アイザック 種族 人族 性別 男 Lv.1 EXP 10
装備
パジャマ 賢者の石
ステータス
HP 30/30 MP 50/50 TP 50/50 SP5000
スキル
なし
ユニークスキル
鑑定 アイテムボックス スキル略奪 全魔法適正 限界突破 偽装 獲得経験値10倍
称号
異世界転生者
『よし、神様への転生特典は全部有効だな!』
俺が神様にお願いした転生特典は賢者の石、 SP5000、鑑定、アイテムボックス、スキル略奪、全魔法適正、限界突破、偽装、獲得経験値10倍、前世の記憶の引継ぎの10個だ。
それぞれについて説明しよう。
賢者の石はいわば巨大な図書館である。
そのため、新しい世界についての情報をいち早く、かつ正確に入手するために必要だと考えた。
SP5000は多くのスキルを獲得できる。
時間のある幼児期のうちに魔法と慣れ親しむために必要だと考え取得。
鑑定は目の前のものを瞬時に分析することができる。
賢者の石と効果が被っていると思ったが、相手のステータスや道具などをいち早く知るには鑑定のほうが適当だと考え取得。
アイテムボックスは無制限にアイテムを異空間に収納し、任意で取り出せる。
めちゃくちゃ便利ではないか!と思い即決。
スキル略奪は死んでいる生物からスキルを奪えるものだ。
人間では取得不可能なスキルが存在するらしく、それを覆したいと思い取得。
Lv上げしてSPをためてスキルを習得するのが面倒くさかったというのもある。
というか後者が主な理由である。
全魔法適正はすべての魔法に適性を持つことができる。
全部の魔法を使ってみたいという単なる好奇心から取得。
限界突破は限界を突破することができる。
成長限界でこれ以上強くなれず、あいつに勝てない…というような状況になる可能性を消そうと考え取得。
また、限界がないということは夢や希望が途絶えないということで、それはロマンではないか!?という考えもあったのは伏せておく。
偽装は本来の姿やステータスを偽り隠すことができる。
明らかにおかしいであろうステータスを隠そうと思い取得。
獲得経験値10倍は得られる経験値が10倍になるものだ。
強くなるために早くLvUPしたいと思い習得。
前世の記憶の引継ぎは文字通りである。
ちなみに自我は前世の赤橋達哉のほうである。
称号の異世界転生者は神様が善意でつけてくれたのだろうか。
効果は言語理解、すなわちすべての言語を聞き取れ、話せ、読み書きできるようになるそうだ。
…めっちゃ便利じゃん!ありがとうございます!
状況を整理し終えるともう睡魔が襲ってきた。
『赤ちゃんの体は思ったより体力がないなぁ…』
そう思いながら俺は睡魔に負けて眠りについた。
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