第283話 至福

ありがとう

誰にいうでもなくお礼を口にする。

コーヒーのおかわりがカップに満たされていたから。


一人暮らしだからわたしがコーヒーを淹れない限りコーヒーがカップに注がれることはない。だけど、こんなふうに時折コーヒーが用意されることがある。飲み干したカップが知らないうちにコーヒーで満たされる。


このコーヒー、わたしが淹れるコーヒーよりおいしい。難点は何杯も出てくるところ。多いときは十杯も出たか。その十杯をわたしは飲んだ。だっておいしいんだもの。でもお腹はコーヒーでジャボジャボ。


もうひとつ難点をいえばたまにしか起こらないことかな。いつだって飲みたいのに。ま、ぜいたくで自分勝手な注文だけど。


カップに口をつける。

ああ、ほんと、おいしい。








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