第170話 逃走
この本を買うのは何度めだろう。
いわゆる名作というやつ。名作だから読んでおこうと思って手をつけるのだけれど、話題作とかベストセラーのほうに手が伸びると名作から遠ざかる。読まなくなって気がつけば本がどこへいったのやらわからなくなる。
で、何度も買うことに。
今回こそ読み切ってしまおう。読み切ってしまえば買わずに済む。これ1冊に集中しよう。
だからいつも持ち歩いていたのだ。失くすはずがない。けれど、どこかへいってしまった。
あと何回買えば読み終わることができるのだろう。
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