第168話 お先に失礼
買い物袋を手にしてスーパーから出たとき、後ろから走ってきた人に追い越された。なんだかわたしによく似ているような気がした。わたしはわたしの後ろ姿をよく知らないけれど。
その人はわたしの停めた車に乗り込み、わたしの前を通り過ぎていった。運転していたその人はわたしだった。
警察に……と思ったけれど疲れすぎていて気力もない。めんどくさいことは明日でいい。
家までは歩いて10分くらい。ともかく歩く。
家には車が停まっていた。さっき乗っていかれたわたしの車。
家のなかに入ると台所のテーブルの上には車のキーと缶ビールがあった。缶ビールは空っぽ。最後に一缶だったのに。
わたしは今スーパーで買ってきた缶ビールに口をつけた。生ぬるい。
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