第164話 どこへ消えた?

これは間違いなくリンゴ。どう見たってリンゴ以外なにものでもない。が、重すぎる。リンゴにしては重すぎる。鉄球のようだ。重くて皮を剥くのにも難儀する。


味も間違いなくリンゴ。だけど、なんだかリンゴを食べている気がしない。咀嚼すると重さで顎がはずれそうだ。胃の動きも気のせいか鈍い。重すぎるからな。


身体まで重くなった気がする。当然だろう。足し算をすれば増えるのはあたりまえ。

体重計に乗ってみた。

いつもと同じ、変化なし。


そんなはずはないけどなあ。

体重計の故障かとほかのものを計ってみたが故障はしていない。

本当にわたしは重すぎるリンゴを食べたのかしら。自信がなくなってきた。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る