第157話 交流
コーヒーを飲んでいたらノックの音がした。また壁から手が生えている。その手が壁を叩くのだ。両手で受け皿の形を作っている。いつものこと。
今日はクッキーをその手に載せる。クッキーを受け取ると手は壁の中へと消えていく。
最初は驚きもしたがなにがしらのモノをあげれば消える。特に害はない。
以来、時折壁から出てくるようになったが、あげたモノに満足しているのか不満なのかはわからない。
手の気持ちもわからないけれど、わたし自身の気持ちもわからない。手に出てきて欲しいのか出てきて欲しくないのか。
このクッキーはおいしいと思うのだが、お気に召したかしら。
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