第150話 置き土産

扉を開けると玄関におびただしい数の履物が散乱している。男物、女物。子供の物。独り者の玄関にはありえない光景。


奥の部屋も妙にざわついているようだ。


わざと音を立てて廊下を歩く。

ドアの向こうには誰も居なかった。

けれど、今の今まで何者かが居たような気配のようなものが残っているのを感じる。


何者かが消えたのなら、玄関に散乱している履物だって……。

が、それは依然として散乱したまま。


処分するのに骨が折れるなあ。


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