第013話 煮凝り

お皿の中で、カレイの煮付けの残り汁は、骨とヒレの煮凝りになる。


「ご飯にかければ美味しいですよ」

「いいよ。それより早く、お前が欲しい」


慌ただしく私を抱いた彼は、まだ冷めきらぬ私を残し、

急いでご家族の待つ自宅へと帰った。


私の体の中で、表沙汰にできない関係は、虚無と恋慕の煮凝りになる。




★☆★


これから『なる』のであって、まだなっていない。

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