第011話 春めく

梅を見に行きました。

一輪、二輪、三輪と、数え切れる程の花と、

ほころび始めた無数の蕾。


「お守りが欲しいな」

「あら。お守りならさっき…」


梅匂う風に冷えきった私の頬を覆うのは、いつの間にか大きくなった熱い掌。


天神様から少し離れた梅林には、

私とこの子の二人だけ。

亡き主人の継子ままこのこの子の。




★☆★


〖春めく〗時期というのが、受験シーズンだった。

この子は、高校三年生かのぉ。



☆★☆


次のお題は〖ボイコット〗

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