第51話 冒険者の評価は最悪らしい

休日――昼頃の事である。

1人で昼食をとりながらふとテレビを見ていると思わぬニュースが飛び込んできた。


「今回は! 噂で持ち切り『緑の鎧を纏う異端者』について話していこうかと思います。 では、今回はこちらのゲスト! 様々なギルドに所属する冒険者さん達に話を伺うとしましょう!」


まず番組のMCは若い女性に向け話を振る。


「あの、ギルドランク世界4位の”アーチャー”から!  この方をゲストにお招き致しました! では、自己紹介を!」

「サレナ。 …よろしく」

「「「「……」」」」


なんだろうか、無感情と言うべきなのか…全く関心がないと言った方が正しいのか。


「え、えっと…なんと、サレナさんは! アーチャーの副ギルドマスター様です! 戦績は勿論、数々の難関ダンジョンをクリアしている方です!」

「…けど、スチールハートには負ける」

「い、いやいやいや! あちらは”家族クラン”ですから比べるまでもないかと!」

「…でも、私達が手を焼くダンジョンは殆どあっちが片付けている」

「そ、そうなんですが~…」


MCの男性もタジタジである。

どうやらこのサレナという美人の方は意外と俺達のクランを評価してくれている様だ。


「だ、だがよぉ! そりゃ、あの3人が凄いだけで。 ましてや、異端者の”お荷物”がクランのマスターなんだろう? たかがFランクで、まだダンジョンもほとんど攻略してねぇみたいじゃねぇか。 そんな奴が果たして上手くやっていけんのかね? カイネさん?」


ふとカメラが赤髪の男を捉えると次に俺のよくしる人物へとカメラが向けられた。


「なんだそんな事か。 お前の雑魚ギルドのパーティー共が助けられたらしいじゃないか? よかったなぁ、アグニエル? さぞ嬉しいだろう? Fランク冒険者に助けられて――――」

「てめぇ…まさか!?」


ざわめくスタジオ。

このままではまずいと思ったのか、MCの男性が無理やりカメラの方に割り込むと再び口を開いた。


「で、ですが! 異端者は多少他の冒険者と違うと言いますか、やはりまだ二ヶ月と少し。 これは成長に期待ですね!?」

「だが、所詮は”異端者”。 Fランクともなれば実力はしれているだろう。 それに―――異端者が活躍するというのはどうなんだ?」


更にMCの発言にかみつくかのように現れた長髪の男。


「まぁまぁ、異端者であるかないかはどうでもいいじゃないですか? こちらとしても、貴方としても痛手なのは確かですが―――彼に当たるというのは違うかと」

「ふん…何を言うかと思えば、戯言を…」


それを金髪のイケメン男性が割って入るとなんとか場を収めた。

なんとなくだが、凄まじい実力を有しているような雰囲気を感じる…

そういえば、なんとな~く何処かで見覚えが――


「なに? …もう帰っていいの?」

「で、では! 次の話題へ!! その前に、一旦CM!」


と気付けばCMへ移行していた。

なんだろうな、あの地獄絵図は…コメンテーターというよりもカイネと赤い髪の男のあれはもう喧嘩寸前。

さらには長髪と金髪の男性同士も何か互いに牽制し合っていたし…あれが俗にいう地獄絵図なんじゃないのだろうか。


「だけど、実際問題…俺に対しての評価は下の下なんだよな」


評価を気にしているのかと聞かれればそうでない。

俺に対していの誹謗中傷は正直どうでもいいと言っても過言ではないだろう、しかしだ。

なによりも一番気にしている事は”うちの家族”にその影響で何か迷惑が掛かっていないかだ。


元々異端者への風当たりと、それを抱えるクランというもの珍しく何度もそういった類の噂を耳にしたことがある。

妬みや恨み…そういった類のもは永遠に付きまとってくるだろう。


それこそ冒険者達の俺に対する評価は最悪―――そもそも俺自身が人目を避けている事が原因なのは間違いない。


「だったら、ひとつずつ精算していくしかないよな」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る