第43話 なんだか様子がおかしい

「なるほど、他ギルドの監視が付いていると?」

「あぁ、そうなんだ。 ちょっとしつこくてな、何か対策が無いかと思ってカイネに相談をと思って来たんだが―――出直した方がいい?」


ジャラジャラ…

個室で二人きりの俺達は普通に会話を交わしているよう思えるが、俺はある一定の距離を保って雑談をしている。


カイネの首に付けれた頑丈そうな首輪と、それを繋ぐ機械の様な物…そして俺の眼のまえに見える注意書きされたテープの様な物。

”これ以上の侵入は貞操の危機” ”発情期の女に注意せよ” ”少しでも近づけばアウト”


等々目に映るものは俺に危険を知らせるものばかりである。

それに俺がこの様に行動しているのにも訳がある、なぜならば…いつもと違いカイネの鼻息が荒く感じる。

こ、これはダークエルフ特有の病気か何かなのだろうか?


なんでもZの話によれば、こう言うことはそこそこの頻度で起こるらしい。

ある種の発情期みたいなものだとか。

なんだか怪しい気もするが――、一応信じるとしておこう。


「いや、大丈夫だ。 もうすこしこっちにこいよ、声があまり聞こえねぇんだ」


何故かはわらない。 何故かはわからなが行ってはいけない気がする。


「いや!! 大丈夫だ!!」


それはもう部屋に響く位に大声でしゃべっておいた。


「っち…」


え? いま、舌打ちされました?


「まぁいい。 とりあえずはそうだな~、こっちからも監視をどうにかできる様に動いておくが。 創輔、お前自身もあまり大胆な行動はしない方がいい」

「大胆?」

「そうだ。 どうせあいつらは、お前を早いうちに取り込もうとしてる訳だ。 なんせあのダンジョンの生還者でおまけに”異端者” なら色々と役に立つわけだ?」

「ははは…なるほど。 解ったよ、ありがとう」


と癖で腕をテーブルより少し前に出した瞬間であった。


ガシッ!


「――――へ?」

「…つ・か・ま・え・た//」

「っ!?」


すると先程までのカイネから一変、表情は既に大人の女性のそれとなっている。

なんというかエロい!!  エロすぎる!!

って言ってる場合か!


「ぐあっ!! まじ!?」


とんでもない馬鹿力でいとも簡単に放り投げられた俺は、カイネにお姫様抱っこされるとゆっくり彼女は俺を床へ下ろし。


「これ、なんてアダルトゲーム?」

「へへっ///」


馬乗りになった彼女の顔を見て思う、これはもう何を言っても通じないと。

おまけに次々と身に着けた服を脱ぎ始め―――


さよなら童貞、よろしく卒業。

俺は目を瞑るとそう唱える。


ガチャ!


「させるかぁぁぁぁ!! フレイムソーード!!」

「え?」

「ちぃ!!」


ガキンっ!!


突如として部屋に突入してきた妹によって窮地を脱する事に成功。

しかし、次は目の前でバトル漫画が繰り広げられていた。

妹は握った炎の剣を全力でカイネに振りかぶる、そしてカイネはひらりと躱すと槍を即座に召喚し妹に応戦。


「どういう状況?」


ガキンガキン!


「っちい! やるな…だが!」

「ちょっとちょっと! 通常時より強いんですけどぉ!? レイナさん!

?」

「そりゃそうさ、彼女は今無尽蔵のマナを有しているに近い状態だからね~…結界、結界。 大丈夫かい~? 創輔君?」

「あ、はい…」


ゆっくりと歩いて来たレイナさんは部屋を見渡しながらブツブツよ何かを呟く。

そして―――


「にしても、ここまで戦闘能力が上昇しているとは…恐るべし性欲…」

「あの~俺帰った方がいいです?」

「ん~…ここに居てくれる方がいいかな~…なんせ。 あれ、止まると思う?」

「え? もしかして最終的には3人で?」

「しかないでしょう…」


ですよね~!!

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