ゼロスキルのアーマー育成物語~アーマーを装着育成して成り上がれ!~

@kosiginn

第1話 ゼロスキルは生きるのがつらい

丁度12時を時計の針がさす頃…俺はベッドの上で携帯端末を弄りながら、ある動画サイトの動画を視聴していた。


『この世界は30年以上前に赤い雨…レッドレインの影響から人間の遺伝子に超変異が起こり人間はステータスというもの、更にはスキルと呼ばれる凄まじい力が覚醒しました。 そして極めつけはダンジョンと呼ばれる存在―――これらの攻略と殲滅―――それが我々人間に課せられた使命なのです!』


動画の男は手の平から炎を出現させると海の方へ向かって、その炎を投げ込んだ。


『見て下さい! これが魔法というものです! 我々は選ばれたのです! 99.99%の可能性に! さぁ、皆でダンジョンを攻略し…この世界を平和へ導きましょう!

我々ギルドは君たちを待っている!!』


そこで動画は終了した。


「君達か…」


俺はこの動画を毎日視聴しながらそう呟くだけであった。

この世界は理不尽な事が多い、99.99%に選ばれなかった人間の事等微塵も考えてもいないのだ。

学園の連中もそうだ、俺がゼロスキルと解るとあいつらは当然の様に俺とコミュニケーションを取る事を止め…そして学園から追い出した。


「つまんねぇな…」


幸いと言うべきなのだろうか、ひどい虐めにあった訳でもなければ何か酷い言葉を浴びせられたわけでもない。 

ただ迫害されただけ…いや、のけ者にされただけと言うべきか…結局俺はこうやって親の脛をかじりながら死んでいくだけなんだろう。


夜―――――


創輔そうすけ? 今日は何をしていたんだ?」


親父は何時もの様に”笑顔”でそう尋ねて来る。


「え、えぇっと…いつも通り動画を見てた」

「そうか。 何も気を落とすことは無い、お前は0.01%の人間に選ばれたんだ。 父さんはそう信じてる。 おまえはきっとでっかくなるぞ!」

「そうよ? スキルなんて無くたっていいわ。 生きてくれさえいてくれれば。 だから何も心配しなくていいのよ?」


親父と母さんは感謝してもしきれない程の恩がある、いつもこうやって俺を笑顔で…何も変わらぬ態度で接してくる。

だからこそなのだろう、俺は二人の”重荷”になる事が嫌だった。


その日の夜―――いつも通り夜食の調達のために深夜のコンビニへ向かう。

何故、深夜のコンビニなのか…それはキラキラした同級生共の顔を見ると腹が立ってしまうからだ。

何も直接言われたわけではない、そういう視線を嫌でも感じてしまう。


「俺は…いつまで迷惑をかけるんだよ―――――」

『装着者の覚醒エネルギー充填完了を確認。 これよりチュートリアルシークエンスに移行致します』


すると目の前には黒い靄の様なものが突如出現した。


「は?」


瞬間、何処からともなく鎧を纏った男が俺の方へ駆け寄って来る。


「君ぃ!! 逃げるんだ!!! それはダンジョンの生成フィールドだ! 飲み込まれるぞ!!」

「―――――え?」


つぎの瞬間。 俺の眼の前は真っ暗になった。

次の日―――このダンジョンは”攻略不可能な”危険なダンジョンとして名を馳せる事となる、まるで機械の化け物が容赦なく冒険者達を襲い。 魔法やスキルの攻撃が全く通用しないのだ。


そしてもうひとつ不幸なニュースがある家族の元へ知らされる事となる。

”不死川 創輔ふしかわ そうすけ年齢17歳の少年がダンジョン生成フィールドに巻き込まれ”死亡”。


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