第11話

「改めて見るとひっどいな」

 僕は大型ショッピングモールの惨状を見てぼやく。

 いったいどうやって壊したのか。

 不思議に思うほどの壊れっぷりだった。

 うーん。

 一応僕もオークエンペラーを倒したときにすべてのオークは倒したしもういないと思うけど。

 現に僕の気配察知にも魔力察知にも反応はない。

 まぁでも頼まれたししっかり探すことにしよう。

 これでいません!って言ってオークなどがいたら大変なことになりだろう。

 引き受けた以上責任持ってこなさなくていけない。

「いるかなー」

 瓦礫の山と化した大型ショッピングモールの中に入る。

 完全に崩れているのかと思ったら違うようだ。

 二階までの天井は崩れどうしようもないのだが、一階はきれいだった。

 まぁ荒らされた形跡はたくさんあるけど。

 一応致命的ではなかった。

 一階が無事ってことは地下の駐車場も無事なのか。

 一階の探索が終わったら地下の駐車場も確認しておくか。

 それにしても腐臭がひどい。

 あたりに転がっている人のご遺体を見て顔をしかめる。

 一階にいた人たちは全員オーク共に殺されたようだ。

「よっこいしょ」

 僕はご遺体に腐敗防止魔法をかけていく。

 それと同時にご遺体の姿を生前のきれいな状態にまで回復させておく。

 なんというか、そのままの姿ではご遺族の方たちに与えるショックが大きいだろう。

 男も女も関わらずなんか少しイカ臭いし。

 そのままじゃ流石にうかばれないだろう。

 ご遺体を清潔な場所に並べておく。

 あとは自衛隊の人たちがなんとかしてくれるだろう。

 大型ショッピングモールの一階は主に食品売場だ。

 電気もまだ生きているのか食べれそうな食品の結構多くあった。

「んー、いない、かな」

 念入りに全ての場所を調べたが、オークなどの魔物の姿は確認できなかった。

「んしょ。じゃあ次は地下にでも行くかな」

 僕はエスカレターに乗り、地下の駐車場にも行く。

 うん。気配も魔力も感じない。まぁ平気かな。

 駐車場にも酷い腐臭が漂っていた。

「ん?なにこれ」

 車の中で息絶えていたご遺体は異常だった。

 ご遺体はなにか白い膜のようなものに覆われていたのだ。

 それだけでなく、なぜかそのご遺体には顔がなかった。

 エクストラスキル【魔眼】を使い、この白い膜が何なのかを鑑定する。

「……わかんない」

 鑑定を使ってもこれが何なのかわからなかった。

 ……鑑定を使ってそれが何なのかわからなかったことなどエクストラスキル【魔眼】を手に入れてからないぞ。

 これは少し触るのはやめておいてほうがいいだろう。

 僕は仕方なくそのご遺体を放置することを決めた。

「全部そうなのか……」

 ここにあったご遺体はすべて顔がなく、白い膜に覆われていた。

 これは少しやばくないか?

 僕が警戒を高めながら歩いていると、いつの間にか僕の隣に異形の化け物が佇んでいることに気づいた。

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