悪夢研究家
@tokisato_
第1幕
君は、悪夢を見たことがあるかい?
そう、あの蜂に追いかけ回されたり、エレベーターが故障して高さ100mからの落下を体験したり、テストで赤点を取ったり--時には死んでしまったりする夢のことだ。見ても、あまり良い気分にはならない。それどころか、私は悪夢を見た日の朝はクッキー1枚食べるのがやっとだ。その日の夢にはキャベツと水菜のスープが出てきたんだが…おっと、話が脱線してしまった。
そんな見ると嫌になる悪夢。だが、とある都市伝説的なものがある事を知っているだろうか。夢にあった出来事を起きてから誰かに話すと、その出来事は起こらないらしい。まあ、一種の救済措置のようなものだ。本当かどうかは知らないが...一種の気休めだね。しかし、私の友人がその都市伝説を逆手に取った研究をしたんだ。長いような短いような、そんな話だがもし良かったら聞いていってほしい。
私が彼と出会ったのは、、なんて言っていると長くなりそうだから簡単に彼を紹介しよう。彼は私の大学時代からの友人で、成績は中の上、運動は全くダメな変人だった。本当に変人だったんだ。彼のせいで一体いくつの研究室がダメになったか…。重機を持ち込んだり、水没させたり、朝登校したら研究室がなくなっていたこともある。物理的に。根本的に頭のできが違うんじゃあないかと、私はにらんでいる。頭のネジを数本外さない限り、ああはならない。まあ、見ている分には愉快だったが。
そんな彼だからこそあんな研究をしようと思ったんだろう。悪夢についての研究を。
彼は昔から不老不死に憧れていたそうだ。それだけ聞くと厨二病を引きずっているただのイタいやつだが、彼は本気だった。その力で何かを成し遂げたい、というわけでは無く、ただ特別な人間になりたかったらしい。有り体に言えば、覚悟を決めて知識を得た厨二病だ。
しかし、不老不死について語る彼の目は少年のように輝いていて、いつも楽しそうだった。そして私は、そんな彼をできる限り応援してやろうと思っていた。いつの間にか私たちは、親友と呼べる仲になっていた。
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