第46話 抜かずの三発ならぬ、撃ち抜いた三発

 講堂の扉を蹴破り、転がって中に入る。

 片膝立ちして秘孔魔法・爪死弾を司祭目掛けて撃つ。


「ふっ、ぬるいわ。防御結界バリヤー


 くそっ、防がれた。


 秘孔魔法・爪死弾を防御結界の秘孔に撃ち込んだ。

 霧散する防御結界。


 千日手だな。

 司祭は人質の女生徒の服をはぎ取った。


「いや、やめて」

「どうした。ぼやぼやしていると交合瞑想を始めるぞ」


 何だって。

 司祭の体の秘孔を突こうにも、防御結界で防がれる。

 司祭の魔法は無効化できるけど、決定打がない。


 どうする。

 このままでは女生徒がやられてしまう。


 司祭は女生徒の胸を揉み始めた。

 元気になる司祭のパオーン。

 くそっ。


 マシンガンみたいに連射できれば良いが、出せるそよ風は4つ。

 筒で1個、弾で1個。

 頑張っても二組だ。


 弾を俺が撃つよな。

 司祭が防御結界を張る。

 二発目の弾で防御結界を霧散させる。


 もう一発ないと駄目だ。

 そうだ。


 俺は小声で幻影魔法を発動した。

 一発目の弾は幻影だ。


 司祭が防御結界を張る。

 二発目の弾が防御結界を壊して、三発目の弾が秘孔魔法・滅魔点穴を突く。


 リロードして、秘孔魔法・金縛り拳を打ち込んだ。

 司祭の心臓が止まる。


「ぐっ、わしがやられ……」


 司祭は死んで方がついた。

 教室に戻るとアイナの姿が無い。


「アイナを見かけなかったか」


 アイナの友達に聞く。


「アイナちゃん色魔教団に連れていかれたの。無効魔法に手が出なくて」

「くそう、この場を離れるべきでは無かったか」


 モーラに色魔教団の情報を貰おうと隣の教室に行くとモーラの姿もない。


「誰かモーラを知らないか」

「モーラさんなら色魔教団にさらわれました」


 くそうこっちもか。

 被害者会の会長が俺の前に現れた。


「何だよ。今、忙しい」

「生徒の情報では色魔教団の人間が引き揚げる時に、『ヒロに伝えろ、本部で待つ』と告げたようです」

「そうか本部でな」

「こんな時になんですが、あなたの罪を9割許しましょう。最後の1割はあなたが生きて帰って来た時に取っておきます。死なないで下さい」


「死ぬものか。奴らは俺を怒らせた。この怒りをぶつけるまでは死ねない」


 俺は大急ぎでルドウィン領に飛んだ。


「モーラがさらわれた。情報が欲しい」

「お嬢様が。なんて事だ。ただいま判明している情報を持って参ります」


 モーラの部下が情報を書いた紙を持って来た。

 見ると判明している教団の施設が書いてある。

 ロナル領の施設が多いな。


 貴族が色魔教団の手先だったから、多いのは当たり前の話だが、ここに連れ去られたと思う事にした。

 施設の中で用途不明の施設が一つある。

 怪しいな。

 これに賭けるか。

 アイナ、モーラ無事でいてくれ。


「殴り込みを掛けるんですよね。持って行って下さい」


 差し出されたのは、回復のポーションのセットだった。

 A級が一つ、B級が二つ、C級が三つ。


「高級のでなくて良いから、もっとくれ」

「すいません。あるのはあとF級が六つです」


 それらを受け取ってロナル領に飛んだ。

 ここからは馬車だ。

 施設の近くの場所まで乗合馬車で行く。


「お前さん。思い詰めているね」


 乗り合い馬車の同乗の老人に話し掛けられた。


「分かりますか」

「殺気が出ているよ。何をしに行くのかは聞かないが、リラックスするがええ。成功する確率が上がるぞ」

「ありがとう」


 俺は幻影魔法でアイナとモーラの姿を出した。

 そよ風で二人のおっぱいを再現する。

 ふにふにと揉むが楽しくない。

 エロい気持ちになれない。

 でもリラックスは出来たようだ。


 乗り合い馬車は目的の村で停まった。

 半日の時間をロスしたが、二人は無事だと自分に思い込ませた。

 施設は村から30分歩いたぐらいの距離にあった。


 施設は高い塀に囲まれている。

 なんとなく刑務所を思い出させた。


 当たりかな。

 鉤縄を投げて塀によじ登る。

 今回は皆殺しだ。

 生かして情報など要らないと、心に決めた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る