20:00

本当は19時で終わるクリスマス会はダラダラと長引き、みんなそれぞれの門限の時間で帰っていくけれど爽太と風喜はまだ帰らないみたいで夏來たちと一緒にパーティーゲームをし始めた。


僕は時計を見てしれっとその場から離れ、夏來のお母さんにコンビニで好きな飲み物を買ってくると伝えてその足で約束された公園に向かうと5分遅れた僕を淡島さんは待っていた。


琥太郎「ごめん。全然パーティー終わる感じなくて抜け出すタイミングミスった。」


淡島「大丈夫。来てくれてありがとう。」


そう言って、淡島さんは淡いベージュホワイトのマフラーに顔を埋め頬が染まっている顔を隠す。


僕はそんな淡島さんと一緒に冷えたベンチに座り、来る途中にあったコンビニで買っといたホットココアを一緒に飲み、そんなに弾まない会話を続けると淡島さんが1人分空いていた距離を縮め寒そうな生脚を僕の冷えたズボンにこつんとくっつけた。


淡島「あ…、あの…んっと…」


と、突然淡島さんは続けても意味ない会話を辞めて告白の準備をし始めた。


僕はそんな準備を辞めさせるためにこんな寒空でもカサつきも冷えもしない唇に自分の唇を合わせる。


それに驚いた淡島さんは何が起きたのか分からなくなったのか体も口も動かなくなった。


琥太郎「僕と何したいの?」


僕は唇を離して少しグロスでベタつく唇を冷えてしまったココアで口直しする。


淡島「えっ?な、なに…って?」


それ、僕に聞く?


もしかして、告白じゃなかった?


僕は頬がりんごになったままの淡島さんに首を傾げて、さっきの言葉を続けてもらおうとするけれど淡島さんは戸惑うばかりで考えていることを口に出してくれない。


琥太郎「…寒いし、戻る?」


淡島「え…っと、…う、うん。」


と、淡島さんは自分の気持ちを飲み込むように頷き、ゆっくりと立ち上がった。


僕は少し残念そうに歩き出す淡島さんの手を取ると、淡島さんは分かりやすく目を丸くして輝かせる。


琥太郎「デートする?」


淡島「…うんっ。」


淡島さんは嬉し恥ずかしそうに笑顔で僕の手を握り返してきた。


僕は自分が求めていた手より小さい手を持って、フラフラと夏來の家の近所を歩いていると買い物袋を下げた夏來と爽太がコンビニがあった方向からやってきた。


爽太「あれー?淡島さんと琥太じゃん。」


と言って爽太は重そうな買い物袋を抱えて僕たちの元に走ってきた。


すると、少し目が悪いんだと教えてくれた淡島さんは焦って僕との恋人繋ぎをやめると手を背中に隠した。


爽太「夏來の母ちゃんがコンビニ行ったって言ってたから迎えにいったのにいないから心配したぞ。」


琥太郎「ごめん。淡島さんとたまたま会ったから駄弁ってた。」


爽太「へー…、そう。コンビニ行くのか?」


琥太郎「いや、寒いから夏來の家に戻る。淡島さんはどうする?」


淡島「んー…、私も一緒に戻ろうかな。」


夏來「妃李って門限危ないんじゃなかったっけ?」


と、夏來は会話に入るとすぐに淡島さんにトゲのある言い方で質問した。


淡島「…さっき連絡したらもうちょっと楽しんでいいって。夏來のお母さんのケーキ、まだ食べれてないから食べたいな。」


夏來「そっか。じゃあ帰ろー。」


僕はまだまだ続くこのクリスマス会の暇つぶしに、淡島さんを使って爽太が言っていた説が本当かどうか試して聖夜前日を過ごした。



環流 虹向/てんしとおコタ

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