【3】開眼①
「『変態』って、あんた何したらそんな祝福になるのよ!」
エリスがクレオを叩きながら腹を抱えて笑ってる。
クレオは笑ってくれて気が楽に思えた。
「前から嫌らしい目で見て来るなぁって思ってたのよ」
エリスがニヤケながら言う。
「それは無い!お前にだけは絶対無い!」
「何だと?」
襟首捕まれ直ぐさま降参する。
「まぁまぁ。まだどんな祝福なのか分からないんだし、もしかしたら凄い能力なのかも知れないよ?」
この後、指導の元、開眼をする事で能力が分かり、場合によっては発動する。
「それに、男の子はみんな変態さんだから・・・」
「ロエルもそうなのか?」
「・・・うん。たぶん、そう・・・」
恥じらうロエルがとても可愛く見える。
(あぁ、こう言う所が『変態』なのかも)
何だか納得してしまった。
全員の『祝福』の確認が終わると、演台に初老の男性がたった。
「学院長のブリジット・ターンヒルである。 皆、祝福を授かり一喜一憂している事と思う。この後、開眼する事で即座に能力が発揮される者、鍛練が必要となる者と様々であろうがあくまでも己が第一歩であると、慢心も卑下もすないで頂きたい。」
学院長の挨拶が終わると開眼の説明が始まった。
簡単に言うと瞑想だ。
胡座をかき、手を組み、みぞおち当たりに集中して祝福の名称を思い浮かべる。
すると能力の名称と詳細が頭に浮かんで来る。
ロエルの場合だと、
『加護』・付与した者の身体能力を向上させる。
『治癒』・自然治癒力を高めるのと、精神力でそれ以上の治癒力を付与する。
と言った様な具合だ。
クレオは集中に欠けていた。
自分の祝福に少なからず動揺しているのもそうだが、周りにいるスカート姿の女子まで胡座をかいている事が気になってしまう。
(あぁ、こう言う所もなのかもなぁ)
「これから昼休憩に入ります。昼食配りますので、各自どこで食べても構いませんが、学科試験までには校舎に集まって下さい。 なお、開眼仕切れていない方はこの時間を使って構いません。」
クレオは開眼出来て居ないのが自分だけじゃないと分かって少しほっとした。
「天気も良いし校庭で食べようよ。」
エリスがそう言って二人を連れ出す。
(開眼したいんだけど、まぁいっか)
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