変態なので王道は進めない

ツワ木とろ

【1】道中

 朝早く、孤児院を出て学院の入試に向かう少年少女が三人。


「大丈夫かなぁ」


ロエルは不安気な表情で前を歩く二人に話し掛ける。


 ロエルは女の子なら絶世の美少女と唱われても遜色無いい出で立ちだか、残念ながら男の子だ。


 性格も消極的な方で、容姿と共に良く孤児院でからかわれていた。


 そんな時に駆け付けて庇ってくれたのがエリス。


「大丈夫よ。アタシ達の居た孤児院て優秀らしいし。」


エリスが赤いポニーテールをなびかせて振り返える。


「エリスはやっぱり軍隊入るの?」


「うん。将校になりたいなぁ」


 この王国では成人1年前の子供は全て主要都市の学院に入学する事が義務付けられている。


 全寮制で1年過ごし、優秀な成績を残せばコネの無い孤児でも出世の道が開ける。


「クレオも軍隊?」


ロエルはもう一人の少年にも聞く。


「そうだなぁ。オレ頭良くないから兵士になれたら御の字かな。」


 世界で唯一、魔族領に面しているこの王国では兵士が子供達のヒーローの様に物語られている。


「じゃぁ僕も軍隊に入ろうかな」


「ロエルじゃ無理よ。だって弱いじゃない」


「・・・クレオもそう思う?」


「そうだなぁ、ロエルとは同じ場所で競い会うよりも、別の場所で肩並べたいかなぁ」


 ロエルはいつも守ってくれるエリスにも感謝しているが、クレオの自分を認めてくれている所作にいつも救われていた。


「そうだね。自分に向いてる事探して見るよ。」


「ああ。それがいいよ。」


 クレオもエリスも笑顔でロエルを見る。


「早く行きましょ。遅れちゃうよ。」


 三人は歩く速度を上げた。


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