　徳嶺副主任様

　こんなに早くお返事をもらえるなんて思ってもみませんでした！　私は相変わらず、上手く言葉が浮かんでこなくて……随分時間が掛かってしまっています。早く書いてお渡しして、副主任とたくさん、たーっくさんやりとりをしたいのに……。

　悔しい。常連さんの名前を間違えてすっごく怒られたときより悔しいです！　……あのときは優しくフォローしてくださりありがとうございました！

　嫌なことはすぐに忘れるタイプなので、怒られたことと付随してあの常連さんの名前も忘れてしまいました。が、メモはしてありますのでご安心を。

　普段の物静かで、淡々と必要事項だけを述べる副主任のイメージが強かったので、返ってきた日記で副主任のユニークな一面を知れて嬉しいです！

（有給はないとかボーナスがないとか、あれ、冗談ですよね？　新入社員を和ませるためのブラックジョークですよね。え、あれ？　ブラックジョークってそういう……？）

　それと副主任、読書初心者におすすめの本を教えていただきありがとうございます。しかしですね、頂戴したリスト、あまりにもびっしり文字が埋まり過ぎてはないでしょうか？

　私はあの紙自体が一遍のお話かと思ったくらいです。ちゃんと数えてみたらピッタリ200タイトルありましたよ？　これもまた一つのジョークなのでしょうか？　それともOJTの一環だったり……？

　ともかく、ビビッと来る前に驚きでセンサーが壊れてしまったので、副主任のオススメをお借りできれば幸いです。

　ジャンルはなんでもござれです。なにせ今までほとんど読書経験がないものですから、何が好きで何が苦手もわからないのです。

　是非、副主任色に染めてください。

　なんちて。面と向かってだと恥ずかしくて言えないことも、こんな風にお伝えできるのはたまらないですね。

　明日は初めての夜勤でドキドキですが、副主任もおられるのでもっとドキドキです。

　仮眠用のベッドにこっそり忍び込んだら怒りますか？　それとも可愛いイタズラだと思って受け入れてくれますか？

　そんなことばかり考えています。

　そんなことばかりを考えることで、支配人から言われた『夜勤は体力的に一番きつい朝方が一番忙しくて地獄だよ』という忠告については考えないようにしています。

　なるようになれ！　です！　それでは！

　戦地へ赴く新兵、舞鶴　虹子より

　小粋なジョーカー、徳嶺副主任様へ

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