第10話
There’s no way we could meet. But one thing is certain. If we see each other, we’ll know.
会える筈ない…でも、確かなことがひとつだけある。私たちは会えば絶対…すぐにわかる。
ーYour name is.(君の名は)より
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
第10章. A.I (Artificial-Intelligence)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ナイトメア−神成 貴成が、これまでの経緯を話してくれた。
「…遡る事6年程前、MATSUSHIBA電機はSewash様と3体のAI・ソーシャボットを過去に送り込む事を計画しました。1体目と2体目の間に10年、2体目と3体目の間を50年と異なる年代に送り込み、その運用データを会社に譲渡する条件でSewash様に協力したのです。
3つの筐体(きょうたい)はそれぞれ、
“SIRI(=シリ)” ,
“ALEXA(=アレクサ)” ,
“DOULA(=ドゥーラ)”
と呼ばれていました。
そして、
“SIRI”を送り込む相手には嘘つきで詐欺師のどうしようもない孤児 ”Steven Paul Jobs(スティーヴン ポール ジョブズ)”
“ALEXA”にはキューバ移民の養子 心配性の “Jeffrey Preston Bezos(ジェフリー プレストン ベゾス)”
そして“DOULA”は実験の発案者であるsewash様の何の取り柄もない祖父 “Nobby … 若きあなたが選ばれました。
しかし、第一世代のソーシャボット達にはパラサイト属性があり、宿主の彼等に強い絆を生ませて相互依存させてしまう傾向がありました。
その絆は最初はいいのです。スティーブはSIRIのチート道具のおかげでコンピュータ業界の王と呼ばれるようになりました。…がその後SIRIから1人立ちする計画がバレて彼女の秘密暗器具の人工癌で死亡。
ジェフは小売店からスタートしてベゾス家始まって以来の巨万の富を僅か一代にして築き上げました。もちろんALEXAがいなければ、こんな事は不可能です。ー彼も独立しようとした結果妻と別れ、会社のC.E.Oの座をも奪われました。命があるだけALEXAの方がマシですが。
こんな事が起きたのでMATSUSHIBAはDOULAを過去に送り込む時にその時代のトラブルにすぐに対応できる様にサポートセンターをそばに開設したのです。」
「…それがカミナリさんの家か。」
「はい。引退こそしましたが長い間ソーシャボット開発の第一人者であった父が志願しました。ずっとあなたがまっすぐに育っていくか、見守っていたのですよ。」
俺は目尻が熱くなった。どうりで町中で騒ぎを起こしても翌日には元通りになってたし、道具を学校で無くしても数日間ヒヤヒヤしたが結局何も起こらなかった。ありがとう。神成さん。盆栽ばっかり壊してごめんなさい。
「…しかし予想外の事態が起きました。数年後に昔年永年私財法ができたのです。…これは我々の元の歴史にはなかった出来事です。…そしてサポートセンターは撤収、DOULAも撤退させました。ここまでが経ー」
「 ! ちょっと待て。Dラミ…D-ramはどうなった?いつ出てくるんだ?」
「?D-ram 、なんの事です?…ビタさん。」
「おじいちゃんそれはなんだい?武器?」
ー!?
ついさっき話し…
…そうか
ーDOULAが、
やってるな。
なるほどさっきのスパイ蝿で2人の座標を捉えたか。
cloudの記憶を書き換えてCO2通信で彼らの記憶をいじっているんだな。
早目に蝿を潰したので俺の座標までは無理だったって訳か。
「おい!Sewash!神成も、しっかりしろ‼︎」
「え!?おじいちゃんじゃない!何でここにいるの⁉︎」
くそっ。同期を切らないと。脳がツルツルになるまで記憶を消すつもりか。
俺はダメ元で空(くう)に叫んだ。
「おい!!久しぶりだなぁ!兄弟!! お前の狙いは記憶を取り戻したこの俺だろ‼︎
コイツらは無視して俺と1対1で対決しろ!!」
…返事がない。
くそ、ダメか。
「おい!聞いてるんだろ⁉︎ ドゥーラ!!
まったく、お前…この名前嫌いだったよな?女みたいだって。
だから俺がいつも…之助や…之進、…衛門なんて付けて男っぽく呼んでやってたんだよな?でも
コソコソするなんてやっぱりお前は女なんだな!!」
…GACHA.
ーある筈がない場所に立つそのドアからそれは入って来た。
「…その発言はコンプライアンス刑法第2条違反ですよ。しかもコソコソ何かやるのは寝てばかりの間抜けな男の子の方ではなかったですかな?」
…NOBYTAくん。
(続く)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます