第62話  お題「水平線」 『四つの目』

『四つの目』


晩秋の浜であなたは

「どれほど波が高くても、向こうはなぎだな」

私は顔をしかめる。

「高波が押し寄せれば、何も見えなくなるわ」

あなたは笑う。

「きみが波をかぶるときは俺が凪になる。

俺が波にのまれるときは、きみが水平線を探せ。そういうことだ」


波の向こうには、静かな線。

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