第90話 長安で策謀する
あっさり賈詡さんに男装を見抜かれてしまった美少女官僚の董木鈴です。
長安に到着して、交易で手に入れた金銀財宝を売却します。
なんと、
ただ、戦場を無理やり横断するため、護衛の騎兵を大勢連れ歩いたために経費も莫大にかかってしまっています。
ある程度は皆さんに褒賞として配ると約束もしています、これは持ち逃げされないようにですね。
「え?この金の銭が欲しいのですか?」
「はい、お願いします!」
公明くんに
「でしたら4枚ほど取っていいですよ」
「お嬢様の好きな絵柄はどれですか?」
「……え、どれもカッコイイですけど、じゃあカエサルさんとネロさんとアントニウスさんとかどうでしょう?ほら、こちら裏に女神の像が彫ってあるのでお勧めですよ?この彫刻は漢朝にはないですよね、写実的で……」
公明くんは金貨を受け取るとお礼を言って去っていってしまいました。
うーん、もっと金貨や彫刻について語りたかったんですが……。
まぁ、すぐ鋳つぶされちゃうよりは知り合いに持ってもらったほうがいいでしょうか。
「おお、さすがは木鈴さま。こんなに頂けるとは気前の良い」
「よっしゃ、今日は飲みにいくぜおめえら!雲長も益徳も暴れるなよ!」
「酒だぜー兄者!」
「ここは玄徳殿にお供させていただこう」
劉備さんたちは騎兵さんたちを長安で飲みに連れて行くようです。
趙雲さんと董家の私兵も一緒ですね。
なお、賈詡さんにも分け前を渡そうと思ったら固辞されました。
― ― ― ― ―
長安の董家屋敷には大勢の文官が出入りしています。
私が不在の間も事実上の官軍の補給司令部として稼働してもらっていました。
「うーん、なんでこんなに報告書を溜めるんですか」
「無理いわんといてくださいや、これでもサボってはおらんのですけど……」
「できれば最前線がヨカッタな……」
これでも補給の仕事はサボってはおらず、現場の
問題は、それを報告書にまとめられてないということですね。
さっそく、日々の報告書や各担当の記憶をたどって、帳簿の整理をはじめました。
出来る人がすくないので、賈詡さんにも手伝ってもらいます。
しかし、日々の仕事をする
董家には彼らを統括できる高位の文官が居ないのが本当に厳しいですね。
― ― ― ― ―
屋敷の奥にはいると、とたとたと髪の色素が少し薄い美少女が私の方に駆けてきました。
私の
「お姉様ー、寂しかったのじゃー」
「
ひしっと白ちゃんと抱き合う私。
ああ、こうして暮らしたい……。
ずっとだきしめていたかったのですが、すっと白ちゃんに逃げられてしまいました。
「あ、皇子さまもお帰りなのじゃ」
弁くんが遅れて部屋に入ってきたようです。
「ありがとう
「皇子さまは勉強してきたの?」
「うん、涼州の政治や民の暮らしを実際に見て来たんだ……彼らの生活を守らないとね」
「で、あれば」
「こちらを清書いただけませんか」
両手に
白ちゃんがおじさん誰?って顔で見ているので新しい部下ですと説明しておきます。
弁くんが
「これは……うん、涼州の
私は一つうなずいて説明します。
「ええ、賈詡と相談したのですが、涼州の政治をたてなおすためには、汚職官僚を追放しないといけません。ですが、高位高官の人事については董将軍の権限を越えます。なので皇子から
「うん、わかった。やるよ……あれ?董将軍の昇進や褒美については書かなくていい?」
「それはさすがに露骨すぎるので……」
弁くんは好意で言ってくれてるんでしょうけど、あまり董家とのつながりを露骨に主張すると悪目立ちして皇帝や宦官に目を付けられそうで怖いんですよね。なのであくまで別に
「皇子、そこまでは
「……今回の反乱軍討伐を見て、
賈詡さんが追加の文章を持ってきて、弁くんが不思議に思って問い返しました。
「あれ?でも董青がいうには
「父はすべて、息子から尊敬されたいのです」
「……」
「それを、逆に息子が父に対して間違っているなどと言っては話を聞いてもらえなくなりましょう」
「……そっか」
賈詡さんに弁くんの使い方について相談したのですが、いま拉致っているのは弁くんの教育はともかく、今後の皇位継承にはあまりよくないそうです。
なので、最終的に政治を立て直すためには、弁くんを押し上げる必要があり、そのためにはひたすら皇帝の今の政治を褒めたたえて、気に入ってもらう必要があるとか。
複雑な気分ですね。
弁くんもあまり嬉しそうではないです。まぁ、父親に対してそういう風に冷静に見るってのは厳しいですよね。
董卓パパは完璧な英雄ですからそういう必要は……バラマキ以外は……あとたまに魔王化するのを除けば……うん、多分完璧です。
弁くんはちょっと悲しそうな顔をしましたが、すぐに気を取り直して一生懸命に
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