犬が懐いてきました〜高校生のアオハル物語〜

rina

第1話 明るい性格

静かな山の中を二台のバスが走っている。

バスの中は、騒がしい。

そのバスに、朝陽和真あさひかずま岩井夏鈴いわいかりんはいた。

和真は隣のクラスの夏鈴たちと一緒にしりとりをしていた。


「隣の方から、スタートね!しりとりのりからお願いします!」

と夏鈴は和真を指名し、スタートを促した。


和真は、

「僕から?えっと、、りんご」

と戸惑いながらも答えた。


「ごま」


「まくら」・・・


その後も、しりとりは続き、夏鈴の

「き、きりん」

で終わった。


夏鈴は、

「あー、ん言ってしまった。くやしー」

と隣に座っていた金井鈴羽かねいすずはに言った。


鈴羽は、

「結構しりとり続いていたもんね。私も悔しい」

と嘆いていた。


二人で、お喋りしていたら

通路を挟んで隣の席の和馬が

「しりとりまぜてくれてありがとうございました!僕、朝陽和馬って言います。お二人さんの名前教えてほしいです!」と自己紹介しながら言ってきた。


「私から自己紹介していい?」

と夏鈴は鈴羽に聞いた。


鈴羽は

「どうぞ、どうぞ。」

と答えた。


「私は、岩井夏鈴と言います。よく周りから明るいと言われます!笑うことが好きです。よろしくね!」


夏鈴の自己紹介が終わると

「次は私。名前は、金井鈴羽です。お菓子作りが好きです。仲良くして下さい!」

と続けて鈴羽も自己紹介をした。


「夏鈴と鈴羽!名前可愛いね!僕、今年からこの小学校に来て、友達少ないから、友達になってほしいです!」


「ぜひ友達なろう!」

と夏鈴と鈴羽は声を合わせて言った。


和馬は

「めっちゃくちゃ嬉しい!ありがとう!」

と感謝の言葉を口にした。


また、

「夏鈴ちゃん、明るいね。太陽みたい!さっき、鈴羽ちゃんと話していた二人をみて、二人とも楽しそうって思って声掛けたんだ。鈴羽ちゃんは、どう思う?」 

と聞いた。


鈴羽は

「その通りだね!夏鈴と話していると本当に楽しいし、元気くれる!」

と答えた。


「そんな褒めないで、恥ずかしい。」

ボソッと夏鈴は言った。


あれこれ話している内に、目的地の真城まき自然学校に着いた。


和馬は、

「楽しい時間をありがとう!じゃあ」

と二人に言い、バスを降りて行った。


「和馬くん、転校生だったんだね。見たことないなと思ってたけど」


「みたいだね。あと、夏鈴褒められまくりだったじゃん。もしかしたら、前の学校には夏鈴みたいな子が少なかったのかもね。だから、明るさにびっくりして褒めたとか。」


「いやー。私みたいな子は沢山いるよ〜。友達には、そういう子が少なかったのかもしれないけど。」

と夢中で話していると


「岩井、金井みんなバス降りてるぞ。早く降りてきて班の人と合流して。」

と先生に言われた。


「先生ごめんなさいー。今すぐ降ります。」

と二人声合わせて言い、降りて行った。


その様子を見ていた和馬は、

「やっぱり二人面白いな」

橋中晴樹はしなかはるきに呟くように言った。


「二人とも、何かが抜けているとこがいいよな。完璧に出来ないからこそ面白く見えるんやと俺は思うわ。」

と晴樹は言った。


「そうやな。また話せんかな。」

と呟く和馬。


「また、話しかけたら?二人とも喜んで話してくれると思うで。」


「うん。話しかけれそうやったら話しかけよ。それより晴樹、ウォークラリー行こ!」


明るい性格の夏鈴と鈴羽に出会った和馬。

この二日間、楽しくなりそうな予感が、彼にはしていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る