【Session39】2016年04月20日(Wed)穀雨
暦の上では穀雨で、春の田畑の準備が整う時期と言われていますが、今日は朝から雨が滴り落ち、学は自分のカウンセリングルームからその様子を伺うことが出来た。
学は今日のカウンセリングを終え、夜の21時頃にカウンセリングルームを後にしようとした時、学のスマホにLINEのメッセージが届いていることに気がついた。そして学はおもむろに、そのLINEのメッセージを開くと、『チーム復興』グループ内のメッセージであることが分かり開いてみたのだ。それはゆうからのメッセージであった。
ゆう :「こんにちは皆さん。熊本地震の義援金は集まってるでしょうか?」
そして、そのメッセージの後に何件かのメッセージも入っていた。
美山みずき:「いろいろと銀座クラブ街のひと達やお客様にお願いしてるんですけど、なかなか集まらないのよ」
ゆき :「南三陸町のひと達や知り合いのひと達に声を掛けたんだけど、自分達のことで精一杯で他のひとのことまでは無理だって」
みさき:「南相馬市のひと達、そして知り合いのひと達に声を掛けたんだけど、自分達よりお金を持っているひと達にお願いすればって言われて」
のぞみ:「新宿でキャバ嬢をしていた頃の知り合いのひとに声を掛けてみたの。そしたらお前そんなうさん臭い団体で活動してるのか、お前にやる金なんて無いって言われて」
学はこれらの内容を観て、自分は何とコメントしたらいいか迷った。そしてふと銀座クラブ街の重鎮であるじゅん子ママのことを思い出したのだ。そこで学は、こうメッセージを送った。
倉田学:「僕の知り合いに、銀座クラブ街で古くからお店をやっているひとを知っています。そのひとに話に行こうと思うのですが、みずきさん一緒に来て貰えませんか?」
このメッセーを学が『チーム復興』のLINEメッセージに投稿すると、すぐにみずきからメッセージが返って来たのだ。
美山みずき:「こんばんは倉田さん、ありがとう御座います。ところで、その銀座クラブ街で古くからお店をやっているひととは誰でしょうか?」
倉田 学:「すいません。まだその方に連絡を取っていないので、今はまだ教えられません」
美山みずき:「そうですか、わかりました。倉田さんからの連絡待ってますね」
こうして学はLINEの『チーム復興』グループを閉じ、そのままスマホを操作して何やら電話を誰かに掛け始めた。そう、その相手とは『銀座クラブ マッド』の経営者であるじゅん子ママであった。
倉田学:「もしもし、こんばんは倉田です。じゅん子さんでしょうか?」
じゅん子ママ:「あら倉田さん、お久しぶりです。どうされたのでしょうか!?」
倉田学:「その後、地下鉄には乗れているでしょうか?」
じゅん子ママ:「おかげ様で、倉田さんのカウンセリングを受けてから嘘のように平気に」
倉田学:「それは良かった。ところで、ひとつお願いしたいことがあるのですが」
じゅん子ママ:「倉田さんからのお願い。それは何でしょうか?」
倉田学:「先日の14日の21時半頃に熊本で、熊本地震がありましたよねぇ」
じゅん子ママ:「ええぇ、ニュースでやってましたね。家屋が倒壊して、未だに地震が続いているそうよ」
倉田学:「実は僕の知り合いに、じゅん子さんと同じ銀座8丁目で銀座クラブを経営しているひとが居るんです。そのひとが熊本地震の義援金を集める活動をしていて、じゅん子さん協力しては頂けないでしょうか?」
じゅん子ママ:「倉田さんのことはわたし信用してるけど、倉田さんの知り合いのひとのことはわたし知らないから」
倉田学:「わかりました。一度そのひとに会って貰うことは出来ませんか?」
じゅん子ママ:「倉田さんのお願いだから会うのは構いませんが、協力するかどうかはそのひとに会ってから決めたいと思います」
倉田学:「ありがとう御座います。では、いつ伺ったら宜しいでしょうか?」
じゅん子ママ:「そうねぇー、4月29日(金)の19時頃からでどうでしょう」
倉田学:「ありがとう御座います。では29日(金)の19時に伺いますね」
こう学はじゅん子ママに言って、電話を切ったのだ。そしてすぐさまみずきに電話を掛けた。
倉田学:「倉田です。みずきさんでしょうか?」
美山みずき:「ええぇ、みずきですけど。倉田さん、どうされましたか?」
倉田学:「今、僕の知り合いの銀座クラブのママに電話して事情を話したんだけど…」
美山みずき:「本当ですか倉田さん。何て言ってましたか?」
倉田学:「会ってくれるって言ってくれて」
美山みずき:「それは何時ですか?」
倉田学:「29日(金)の昭和の日の祝日で、時間は19時からと」
美山みずき:「倉田さん。誰が行けばいいのでしょうか?」
倉田学:「僕とみずきさんは行く必要があります」
美山みずき:「それで、行けば熊本地震の義援金の協力をしてくれるって言ってましたか?」
倉田学:「それは会ってから決めるって言ってましたよ」
美山みずき:「わかりました。それでは29日(金)にわたしのお店に19時より少し前に来て貰えませんか?」
倉田学:「はい、わかりました」
こうして学は電話を切った。この話はたちまちLINEの『チーム復興』グループに流れたのだ。そして29日(金)の日に他の『チーム復興』のメンバー達も、その銀座クラブのママにお願いしに行きたいと言うコメントを寄せて来たのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます