カナリアのカナリー

カナリーの仕事は単純であった。

鉱夫たちに連れられ、その身に感じる驚異に「くせぇくせぇ」と鳴けば良い。

そうすることで目に見えぬ驚異、有毒ガスの存在を知らせることが彼の仕事である。

カナリーは他のカナリアと比べると幾分頑丈で、幾度も鉱夫たちの命を救ってきた。しかし、彼自身は彼らのことがあまり好きではなかった。それというのも、なにせ狭いカゴに押しやられ、臭気漂う洞窟に連れて行かれるのだから。彼が転生者で2度目の人生であるために、無駄に賢いことも一因ではあるだろう。


いく数年。カナリーついに有毒ガスへの完全耐性を会得。戯れに鉱夫たちを深部に誘い積年の恨みを果たすことに成功。しかし籠からでること叶わず。大嫌いな臭いに囲まれて果てることとなった。

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