元勇者のおじいちゃんに育てられた子供は普通じゃありません

第158話

エイトはフールが向かった先を足音を忍ばせ歩いていると、先の方が薄らと光が指している場所があった。

警戒しながら壁伝いに近づくと男達の話し声が聞こえてきた…

｢あははは！コレで生贄の準備は万端だな｣

｢なんて事は無かったな｣

｢これもあいつのおかげだよ｣

生贄？なんの話だろう…

男達の話が気になりもう少し近づこうとトビラに寄ると…

カラッ…

石を蹴ってしまい音が鳴った！

｢誰だ！｣

気配に気付かれて扉を開けられてしまった。

｢あれ？こいつ捕まえてきた子供だよな？｣

男達は鎧を身につけて兵士の様な格好をしていた、そしてエイトを見下ろすと怪訝な顔をする。

｢逃げ出したのか？ならまた捕まえておくか｣

兵士が手を伸ばしと…

剣を…！

エイトはじいちゃんからもらった鞄から武器を取り出そうとするが…

あっ！鞄…そう言えばない

ずっと肌身離さず持っていたのに牢屋に入れられた時に取られてしまったようだ。

｢くっ！｣

エイトはならばと拳を握りしめ構えると…

｢あはは！一丁前にガキが戦う気か？｣

｢ぼく～大人に勝てるわけないだろ？｣

バカにした兵士達が笑いながら手を伸ばしエイトの腕を掴もうとする。

｢フッ！！｣

エイトは伸ばされた手の甲目掛けて拳を突き出した！

ゴキッ！

すると平気の手から怪しげな音がした。

｢いってぇ！！｣

叩かれた兵士が自分の手を抑えて悶えている。

｢何やってんだ、子供相手に油断してるからだろ｣

仲間の兵士が笑うと

｢オリャ！｣

エイトはすかさずもう一人の兵士の股間めがけて蹴りをくらわせた！

｢ヒョッ！｣

兵士は息を吸い上げて顔を青くしながらへにゃへにゃと座り込んだ。

｢このガキ！！生贄だから殺すなよ！生きて捕まえろ！｣

兵士が大声をあげると、何事だと隣の部屋から兵士達が次々に現れた。

まだあんなにいたなんて…

エイトは人数の多さに顔を顰めた、一人二人なら何とかなると思ったが…出てきたのはその倍の数だった。

さすがのエイトも鍛えられた兵士達の人数にあっさりと捕まり押さえ付けられる。

｢手のかかるガキだ、早いところ薬を飲ませて閉じ込めておこうぜ｣

｢そうだな｣

兵士達は猿ぐつわをはめられ、手足を縛られ寝っ転がっるエイトを見下ろした。

そして一人が薬を持ってくる。

｢んーんー！｣

エイトは必死に手足を動かすがビクともしない。

｢ハイハイ、暴れても遅いよ。それに大丈夫痛くはないからな｣

一人の兵士がエイトの頭を押さえつけると猿ぐつわを外す、そして顎を掴んで固定すると口を無理やり開かされた。

｢んー！！｣

大人に馬乗りで押さえつけられビクともしない…頭と口を抑えられ無理やりなにかの液体を流し込まれた。

そして口を押さえて液体を吐かないようにふさがれたら飲み込むしか無かった…

こうしてエイトは何かわからない薬を飲まされた。