元勇者のおじいちゃんに育てられた子供は普通じゃありません

第41話

このムカつく女はなんなんだ！

ジャックは先程から偉そうにエイトに怒鳴りつけるこの臭く醜い女にイラついてしょうがなかった。

肝心のエイトは女にビビってか何も言い返さない！

エイトが言えないならと俺が怒鳴ると女は俺に向かってあっちに行けと手であしらう…その行為にさらに頭に血がのぼる！

しかしエイトは手を出すなとばかりに俺を制止させた。

女は調子に乗ってエイトの着ている服を剥ぎ取った。まるでエイトの物は自分の物だと言うように服を着ると今度はエイトのカバンに目をつける。

あのドラゴンのカバンだった…確かカズキ達から貰ったと嬉しそうにしていた。

エイトはカバンだけはと渡すのを拒む…すると女は逆上した！

近くに落ちていた木の棒を拾うと事もあろうにエイトに振り下ろした。

まぁあの程度なら避けられるだろうと思っていたがエイトは避けることなく攻撃を受け、じっと耐えている…

やめろ！と俺が吠えると今度は攻撃の矛先が俺に向いた、あんなひょろひょろの攻撃など木の棒ごと吹き飛ばしてやる！

俺が飛びかかろうとするとエイトが横から抱きつき俺を庇いだした。

エイトに退けと、もがくがギュッと抱きつかれて身動きが取れない。

エイトの顔を見ると痛そうに顔を歪めていた…

こんな顔見た事が無い…

俺がどんなに冷たくあしらったってこんな顔した事ない。

イタズラをしてカズキやナナミに怒られたってこんな顔しやしない。

そして何よりエイトがこいつをお母さんと呼ぶ事が許せなかった！

「エイト！」

俺はカズキとの約束を破ってエイトに話しかけた！

「ジ、ジャック…今喋った？」

エイトは驚き俺の顔をじっと見つめる。

「今はそんな事はどうでもいい！手を離せ！あの女をぶっ飛ばす！」

「だ、駄目…」

エイトが目に見えて怯えだした…

「なんでだ！？お前ならあんなやつどうということはないだろ！」

「だ、だって…」

エイトが俺から目をそらす。

「それに！あんなのをお母さんと呼ぶな！お前の母親はナナミだろ！」

「ナナミ…」

「お前はカズキとナナミの子供なんだろ！」

エイトが困った時や寂しい時に必ず口にする言葉を言ってやる。

「あんなのは母親とは言わん！お前だってわかってるだろ！」

エイトはじっと何かを考え込む…体の震えは止まっていた…

女はエイトが抵抗しないことに調子にのりだす。

「何をごちゃごちゃと犬に話しかけてるんだ！いつもいつもお前はそうだった…オドオドしやがって気持ち悪いんだよ！」

両手で木を掴むと渾身の力で棒を振り下ろした！

「クソッ！」

俺はエイトの頭目掛けて振り下ろされ木の棒を為す術もなく見ているしか出来なかった。