第14話

「か、かっこいい?」


カズキは思ってもいなかったエイトの反応に今度は自分が固まってしまう…


「カズキ!すごい!カズキ!つよい!」


エイトは興奮が冷めやらぬ様子でカズキの腕をギュッと握りしめる!


「そ、そうか?俺をかっこいいって思ってくれるのか…」


カズキは嬉しそうにエイトを撫でた…


「ぼく、カズキみたくなりたい」


エイトは真剣な瞳でカズキを見た。


「俺みたく?」


カズキは困ったように笑うと


「俺みたいになったら国から追われちまう、エイトは普通に幸せになっていいんだよ」


エイトはフルフルと首を横に振ると


「カズキ…すき」


エイトはカズキに抱きついた。


「しょ、しょうがないなぁ…ナナミには内緒だぞ!エイトに危ない事をさせたって怒られるかも知れないからな」


「ないしょ?」


エイトが首を傾げると


「ああ、男同士の秘密だ」


「ひみつ!」


エイトは親指を立てるカズキの真似をして自分も親指を立てた!


「よし!じゃあ明日からエイトにも少しづつ強くなる為に訓練をしてやるからな!」


「くんれん!」


「そうだ!まずはよく食べてよく寝る事!」


「たべる!ねる!」


エイトがうんうん!と頷くと


「よし!よし!じゃあこの猪共を持って帰ってナナミに美味しく料理してもらって沢山食べるんだぞ」


「はい!」


「いい返事だ、俺は猪集めてくるからエイトは花を集めて来い、そしたら家に帰ろう」


「はい!」


エイトは元気に返事をするとナナミの為に花を摘みに行った!



行きと同じようにカズキに抱かれて家に帰ると


「ただいまー」


「ただいま」


カズキとエイトが家に向かって声をかけると


「おかえりなさい!」


ナナミが笑顔で迎える。


「ナナミ、はな…どうぞ」


エイトはずっと大切そうに持っていた花を早速ナナミに渡そうと指し出すと…


「え!私に?」


ナナミが驚いてエイトとカズキの顔を今後に見る。


「ああ、エイトが摘んでくれたんだ」


カズキが微笑んでナナミを見ると


「ありがとう…すごく嬉しい…」


花を受け取ると瞳を潤ませエイトに笑いかける。


泣き出しそうなナナミの顔にエイトは不安になってしまう…


「ナナミ…なく、やだ…」


エイトの言葉にナナミは微笑むと


「大丈夫よ、これは嬉しくて泣いてるの。エイトも嬉しい時泣きたくなるでしょ?」


ナナミが言うとエイトはカズキ達に拾われた時を思い出す。


「うん…」


エイトが頷く…


「私もそれと同じ…エイトの気持ちが嬉しくて泣きたくなっちゃた、でもエイトが不安になっちゃうから…」


ナナミは笑うとエイトを抱きしめる。


「嬉しいから笑おうっと!」


ありがとうとエイトの頭にキスを落とす。


「エイトよかったな、ナナミが喜んでくれて」


カズキがエイトに微笑むと、エイトは嬉しそうに頷いていた。


「ナナミ、俺からはコレだ!」


カズキはメガホックを大量に取り出すと


「わっ!すごい量…」


ナナミがあまりの量に驚くと


「いやぁこいつらがエイトを狙うもんだからついムキになって狩りつくしちまった!」


「え?エイトを?」


ナナミの顔が一瞬固まる…


「あっ!大丈夫だ!怪我は無いからな」


カズキが慌てて答えると…


「そう…」


ナナミはにっこりと笑ってメガホックを見つめた…。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る