【自由詩】

セレナーデ




飛んでいけセレナーデ、愛する女のもとへ

白い翼も軽く

私の竪琴に合わせて飛びたて

あの人は木漏れ陽の差す窓辺に座り

うつむき加減に読書をしている

そして退屈な本が美しい頭をまどろませたら

お前はすぐに彼女の耳もとへ行き

やさしく子守歌を歌うがいい

そうすれば彼女の頭はお前の旋律におどろき

お前の足に結い付けられた言伝を読み取るだろう

そして彼女は白い人差し指にお前をのせて話しかける

そんなに遠くからあなたを放ち

そのきれいな調べをあなたにおしえたのは誰なの?

飛んでいけセレナーデ、愛する女のもとへ

あそこへ飛んでいけ、ああセレナーデよ!


飛んでいけセレナーデ、愛する女のもとへ

満点にきらめく星の中の

もっとも輝く星になれ

あの人は夜かわいい手でそっと窓を開き

憂いに溢れた顔で頬杖をつきながら

遠くにいるお前の姿を見上げるだろう

そうしたらお前はすぐさま

やわらかい胸の中へ流れ落ちていくがいい

そうすれば彼女の胸はお前の光で

今までにもまして輝くだろう

そして彼女はいぶかしげに首をかしげる

おまじないを唱える前に

願い事をかなえてくれたのはいったい誰かしら?

飛んでいけセレナーデ、愛する女のもとへ

あそこへ飛んでいけ、ああセレナーデよ!



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着想ネタ:「セレナータ」トスティ作曲

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