第253話
スーツ姿を
色々とダークスーツを着ていったので、次は万能なアイテムである、ブラックスーツの方に手を伸ばしてみる。ブラックスーツは、冠婚葬祭は勿論の事、ビジネスやイベントなど幅広いシチュエーションに対応出来る、オールマイティーなスーツ。その中でも気に入ったのが、
ジャケットの内に着るワイシャツはネイビー色のものを選び、ネクタイはスーツと同じ艶のある生地で作られている、ブラックのネクタイを選んだ。そしてもう一つ、新しいものをコーディネートに加えた。それは、ジャケットとワイシャツの間に着込む、スーツベストと呼ばれるもの。スーツベストにも種類があり、その中から選んだのは、クラシックな雰囲気を放つ
「若造の俺には似合わないかもしれないが、一度だけでも挑戦してみる事にしよう」
そんな事を思いつつ、手際よくブラックスーツを身に纏っていく。姿見に映る自分の姿を見るに、中々に似合っているんじゃないだろうかと思う。ブラックスーツに着替え終わった俺は、変な所がないかを一通りチェックし終わった後、更衣室の仕切りを開いて外に出る。俺が更衣室から出てきた音を聞いたイザベラたちが、声を掛ける前にこちらに近づいてきてくれる。そして、俺のブラックスーツ姿を見て、イザベラたちの動きが完全に止まってしまう。
「どう?上質な生地のスーツに挑戦してみたけど、多少は似合ってる?」
そう聞いて見ても、イザベラたちは動きを止めてジッと俺を見つめ続ける。直ぐに返事が貰えそうにないので、近くにいたベテランの店員さんを近くに呼んで、プロの目線からの率直な意見を貰う事にした。
「
「ありがとうございます。本職の方にそう言ってもらえると安心します。ベストに関してはどうですか?」
「ベストに関しても、特に問題はございません。ですが、ベストを着る着ないに関しては、格式の高さによって切り替えた方がよろしいでしょう」
「格式の高さ、ですか?」
「例えばですが、上位の方の祝いの場に呼ばれた時には、ベストを着て参加した方がよろしいでしょう。逆に、気軽に参加できるような場であるのならば、ベストは着ずに下はワイシャツのみでよいと思います」
「なる程、参考にさせていただきます」
「いえいえ。ウォルター様のお役に立てたなら幸いです」
ベテランの店員さんとの話が終わると、動きを止めて俺を見続けていたイザベラたちが、スススッと素早く近づいてきた。そして、一人ずつ俺の隣に立っては、他の皆がそれを見てウンウンと頷いて何かに納得していた。
「改めて聞くけど、良い生地に挑戦してみたんだけど、似合ってるかな?」
「ええ、大変魅力的です。先程までのスーツの着こなしも素敵でしたが、この上質な生地のスーツを着たウォルターの姿は、それらよりも一段上で魅力的に輝いて見えます。近く行われる魔法学院主催の舞踏会では、このスーツを着て私たちと踊ってほしいわ」
「とてもいい考えね」
「はい。私もそう思います」
「とっても素敵な思い出になる事間違いありません」
「ウォルター君、今度私とも踊る時間を作ってね」
「分かりました。ちゃんと時間を作ります」
「ふふふ、楽しみだわ」
「皆、お手柔らかにね」
イザベラたちの反応から、この艶や光沢感のある生地で作られたブラックスーツの事を、大層気に入ってくれたのが分かる。彼女たちに
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