第187話
「古の勇者と黒き闇の御伽噺には、その様な忘れ去られた真実があったとはの。封印されているにも関わらず、自意識を持ったまま外で活動しておるとは、実に厄介で深刻な状況じゃ。イザベラお嬢さんたちの鍛錬の計画を、一から見直す必要があるの」
「賢者様に賛成です。話を聞く限り、戦力を遊ばせておく余裕はないです。例の二人以外にも付き従う者がいそうですし、イザベラたちに少しでも早く強くなってもらう必要がありますね」
「ウォルターさんの隣に立つに相応しい女になって見せます」
「賢者様たちの足は引っ張りたくないからね」
「ええ、必ず強くなってみせます」
「私たちの強い絆を、奴らに見せてやりましょう」
イザベラ嬢たちは、鍛錬の質を上げるというジャック爺とカトリーヌさんに、やる気満々で答えていく。ジャック爺やカトリーヌさんは、イザベラ嬢たちのやる気満々の答えに、魔法使いの師匠として満足そうに頷いて返した。
ジャック爺は魔法使いの師匠として、今まである程度の方向性を定めた状態で鍛えてはいたが、明確なラインを決めて鍛えていた訳ではなかった。だがここにきて、ケルノス様から伝えられた古の勇者と黒き闇の話や、暗き闇が完全に復活しようとしているという現状から、どこまで鍛えて力を付けさせるのかというのがハッキリした。そして明確にラインがハッキリしたのならば、後はそのラインに到達するまで、イザベラ嬢たちを一気に鍛えていくだけだ。
(奴らは封印を完全に解くため、既に本格的に活動している。それに戦力に関しても、あの二人以外にも沢山いる事は間違いない。だがイザベラ嬢たちは、超一流の魔法使いであるジャック爺やカトリーヌさんが認めた、才能を秘めたる魔女たちだ。師匠たちの厳しい鍛錬を乗り越えた時、イザベラ嬢たちは今よりももっと強くなる)
イザベラ嬢たちの戦力が向上すれば、奴らとも真正面からやり合える。さらに稀代の魔女であり女傑であるカトリーヌさんや、アイオリス王国最強の魔法使いであるジャック爺が一緒なら、百人力どころか千人力でとても頼もしい。だが、ジャック爺やカトリーヌさんに頼り切るつもりはない。俺も俺で、奴らが何時現れてもいい様に、より厳しい鍛錬を課して強くならないと。
前世と今世を通して初めての彼女、それも五人の愛しい彼女たちなのだ。愛する彼女たちを失うつもりはないし、俺自身も彼女たちを残して早々簡単に死ぬつもりも一切ない。俺たちの幸せの未来の為に、まだ見ぬ子供たちや孫たちの幸せの為にも、暗き闇とそれに付き従う者たちには、この世界から完全に消え去ってもらう。
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