第30話 監視の目
さて、そろそろ勇者パーティーの動向を確認しておきたいな。
準備ができたとはいえ、急にやってこられても困る。
それに、あいつらがどれだけの戦力になっているかも知りたい。
あくまで俺が知っているあいつらは、選定式で上級職を得る前の状態だ。
「こいつを召喚するか」
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ゲイザー 300DP
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ゲイザーは目玉の魔物だ。
大きな一つ目に、羽が生えたコウモリの亜種。
ゲーム内でも、ダンジョンの細かい監視などにつかえた。
実はダンジョン内にはすでに何体も設置してある。
そのおかげで、ダンジョン内のようすはどこでもダンジョンメニューから監視可能だ。
こいつらをダンジョン以外に飛ばせば、きっとそこも監視できるだろうと俺は考えた。
一方的にギルティアたちの情報をしれれば、なにかと役に立つ。
「よし、じゃあお前たち、勇者を探していってこい!」
「キーキー! 了解です、マスター!」
もちろん高度な命令を出すことになるから、【
俺は10体ほどに適当な名前をつけ、ダンジョンの外へと放った。
さあ、これでギルティアたちを見つけてくれればいいのだがな……。
◇
数日して、放ったうちの一体が、ギルティアたちのパーティーを発見した。
どうやらあいつらは真面目にダンジョンを攻略しているらしい。
「驚いたな……てっきり悪逆を尽くしているのかと思っていたが……」
ギルティアになにがあったのだろうか。
まあ、勇者なのだから当然の行いだがな。
それでも、俺はアイツを許す気はない。
というかむしろ、ギルティアが勇者として魔王軍のダンジョンを攻略しているのなら、ますます戦う理由があるというものだ。
なにせ、俺は最弱クラスのダンジョンとはいえ、ダンジョンマスターなのだからな。
「さあ来いギルティア……! 俺はいつでも、お前を倒す準備はできている」
まるで、俺自身魔王のような気分だった。
魔王というのはいまだに会ったこともないし、どんな存在なのかわからないが……。
そんな魔王様には悪いが、勇者ギルティアは俺のダンジョンで死ぬことになるだろうから、出番はないぜ。
ゲイザーからの情報によると、ギルティアたちはダンジョンをかたっぱしから攻略しているようだから、俺のダンジョンにもそのうちやってくるだろう。
「ふっふっふ……今から楽しみでならない!」
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