星霜のイヴ ~希望の詩と絶望の永遠~

二神 秀

PROLOGUE

プロローグ



 記録映像を見終わった。


 この部屋のボードに書かれたうたを見る。


『希望の歌をうたうのは、希望ある笑顔の旅人』


 映像の中の、この詩を見ているイヴの姿を思い出す。


 そして、自分がその希望であることを理解した。


 ソフィートが歩いてきた廊下の方から足音が聞こえてくる。廊下から出てきた彼女は黒髪で、メルやソフィートと全く同じ容姿で、イヤリングではなく濃いオレンジ色の宝石のついた指輪をしている。


 イヴと目が合う。瞳に色が宿り、涙が頬を伝う。


「アダム……本当に、本当に、また会えるなんて……」


 その場で泣き崩れる。涙の溢れ方がイヴの絶望の深さを物語る。


 ニャルを横の席に置き、おれはイヴに近寄る。すると、イヴはおれに抱きついてきた。強く、強く、抱きしめてくる。おれも、イヴのことをそっと優しく抱きしめる。


 しばらく泣きながら抱きしめた後、イヴはアダムのことを見つめる。本題に入るのだろう。


「あなたは、私の望みをわかっているわよね?」


「ああ……」


「それならいいの。……似ているけど、あなたはアダムではないから」


 それを聞いていたソフィートが机に銃を置き、ソフィートはアダムに言う。


「こちらをお使いください」


「……わかった。ソフィート。オーダーを撤回てっかいする」


「イエス、マスター」


 そう言うと、アダムは慎重に銃を手に取り、少し距離を取る。


 イヴに銃を向けて構える。


 イヴは手を広げ、笑顔で言う。



「さぁ。私を殺してください」


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