星霜のイヴ ~希望の詩と絶望の永遠~
二神 秀
PROLOGUE
プロローグ
記録映像を見終わった。
この部屋のボードに書かれた
『希望の歌を
映像の中の、この詩を見ているイヴの姿を思い出す。
そして、自分がその希望であることを理解した。
ソフィートが歩いてきた廊下の方から足音が聞こえてくる。廊下から出てきた彼女は黒髪で、メルやソフィートと全く同じ容姿で、イヤリングではなく濃いオレンジ色の宝石のついた指輪をしている。
イヴと目が合う。瞳に色が宿り、涙が頬を伝う。
「アダム……本当に、本当に、また会えるなんて……」
その場で泣き崩れる。涙の溢れ方がイヴの絶望の深さを物語る。
ニャルを横の席に置き、おれはイヴに近寄る。すると、イヴはおれに抱きついてきた。強く、強く、抱きしめてくる。おれも、イヴのことをそっと優しく抱きしめる。
しばらく泣きながら抱きしめた後、イヴはアダムのことを見つめる。本題に入るのだろう。
「あなたは、私の望みをわかっているわよね?」
「ああ……」
「それならいいの。……似ているけど、あなたはアダムではないから」
それを聞いていたソフィートが机に銃を置き、ソフィートはアダムに言う。
「こちらをお使いください」
「……わかった。ソフィート。オーダーを
「イエス、マスター」
そう言うと、アダムは慎重に銃を手に取り、少し距離を取る。
イヴに銃を向けて構える。
イヴは手を広げ、笑顔で言う。
「さぁ。私を殺してください」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます