波紋

それは

小さな小さな波紋からでした


貴方がそれと知らずに

投げかけた、ひとしずくが


あたしのこころの海の中に

ぽとりと落ちて

丸く広がっていきました


そして

すぐに消えていきました




それなのに


はじめは

ひとつだけだったのに


貴方に逢う度に

投げかけられるしずくが増えて


広がっていく波紋たちが

いくつもいくつも重なりあって


波打つまでになりました



貴方に逢えずとも

あたしは波立ったまま


貴方がそれと知らずに

投げかけるしずくたちに

もう

溺れてしまいそうです


冬の嵐に遭ったようなんです







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