異世界転生BL「天婚契約」 天白龍との異世界婚を契約済み!?俺がモテすぎるのは解釈違いだ!(だって全員男でケモノだし)
@tsukiyonoio
プロローグ 遠い日の夢
夢を見ていた。
子供のころの夢を。
まだ小学校へ行く前だったか、近所の公園で遊んでいたら、同じくらいの年の子供に出会った。
その日は風が強かった。そのせいで妹がなくしてしまったボールを探していたんだ。風に押し込まれたのか、植え込みの陰で見つかったんだが、そのときに枝の間にうずくまっていたのがその子だった。
風に揺れる白銀の髪。
透けて消えそうに色の薄い肌。
そして夜のような深宵の瞳。
不安そうに肩を震わせて、それでも気丈に大きな黒い目を瞠っていた。
見かけない顔だな、と思ったのは覚えているが、今になってみれば日本人離れした白い髪につっこめよと思う。
ただ、とてつもなくきれいな子供だったことは覚えている。
「何してんだよ」
「……ここ、どこ……?」
問いかけた俺に答える声は細い。
落ち着いたように見えても、やはり怖いんだろう。きれいな声が震えていた。
俺は安心させたくて、手を伸ばした。
「迷子なのか。一緒に帰るとこ探してやるから、出てこいよ」
「探してくれるの?」
「ああ。ほら、早く。そんなとこいると虫に噛まれるぞ」
虫、という言葉に飛び跳ねるようにして俺の手を取ったその子を茂みから引きずりだす。
明るいところで見ると、さらさらした髪の毛もつるっとした頬も、すべてが可愛くて、俺はぼうっとその子を見つめていた。
その子は光がまぶしかったのか目を細めていた。
「ありがとう」
「お、おう」
ニコッと笑ったその子の頬が土で汚れている。
拭いてやろうと慌ててポケットを探ったが、ハンカチなんて持ち歩くタイプじゃない。
しかたなく手でゴシゴシと拭いてやると、その子はくすぐったそうに笑った。
「俺の名前は晄ひかり。お前は?」
「ボクは……」
答えながら笑うその子の嬉しそうな表情は、夢の中でもまぶしいくらいに輝いていた。
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