第100話 イルーミクと3人での昼食
フィルランカ達の受けている授業が終わると、直ぐに、イルーミクが、2人の元に来た。
「ねえ、これから、昼休みでしょ。 ご一緒にいかがかしら?」
フィルランカは、いつも通りに自分のお弁当を持っているのだが、モカリナは、いつも、食堂で食べているので、2人で食堂に行って食べていた。
「はい。 私たちは、食堂で食べるのですけど、フィルランカは、自分のお弁当ですし、私は、食堂のランチを食べています。 それでよろしければ、構いませんわ」
「あら、私もランチなのですよ」
「では、ご一緒いたしましょう」
モカリナが、イルーミクと話を進めていたのを、フィルランカは、隣で聞いていただけだった。
「フィルランカも、それで構わないわね」
「ええ、構いません」
そう言うと、3人で食堂に向かった。
食堂に入ると、昼時なので、混んでいた。
「じゃあ、私は、先に行って、場所を取っておきますね」
フィルランカは、お弁当なので、食事を買う必要がないので、いつものように先に移動して食べる場所を確保するのだ。
奥の方に4人がけのテーブルを見つけると、フィルランカは、そのテーブルに移動して、座ると、自分のお弁当をテーブルに出した。
モカリナ達を見ると、2人は、まだ、ランチを受け取ってないので、フィルランカは、少し時間を持て余しそうだと思うと、カバンから、石板を取り出し、先ほどの授業で書き留めておいた内容を確認している。
他のテーブルには、次々と人が座っていくのだが、フィルランカの座った席には、相席を申し込むような様子は無く、2人が来るまでフィルランカは、授業の復習をしている。
(やはり、3学年の授業は、少し難しいわね。 しっかり勉強しないといけないわね)
フィルランカは、授業の内容に集中していた。
「あら、フィルランカったら、授業の復習をしているのね。 短い時間でも、有効に使っているなら、飛び級も夢じゃなさそうね」
トレーにランチを持ってテーブルに来たイルーミクが、感心したようにフィルランカに言うと、フィルランカも気がついた様子で、イルーミクを見る。
すると、イルーミクは、フィルランカの対面に、モカリナが、フィルランカの横にトレーを置いて座った。
「そうなのよ。 フィルランカは、少しの時間でも、必ず、復習しているのよ。 そのお陰で、私も付き合うようになったの」
フィルランカは、モカリナに申し訳ない事をしたのかと思った様子で、表情を曇らせる。
「でも、そのおかげで、私の成績も上がったので、フィルランカには、とても感謝してますわ」
「まあ、2人とも、仲が良いのね。 そうやって、お互いを高めていたのね」
イルーミクは、笑顔を向けるが、フィルランカは、少し、顔を曇らせる。
「あら、どうしたの? フィルランカさん」
「ああー、私は、成績が上がってないんです。 モカリナは、上がったみたいですけど、私は、上がることはないので、私には、才能が無いのかと、少し凹みます」
それを聞いて、モカリナは、イラついた表情を浮かべる。
「フィルランカ、順位の話は、それまでにしておきましょう。 あなたが、今以上の成績になったら、人じゃなくて、神様よ」
フィルランカは、何の事だといった様子でモカリナを見る。
その2人の様子をイルーミクが、困った様子で見ている。
(確か、フィルランカって、1学年の時の次席だったわよね。 主席は、確か、10年に1人と言われた天才だったはずだから、その人を超えるとなったら、モカリナの言う事も納得できるわ。 フィルランカって、勉強はできるけど、案外、天然なのかしら)
イルーミクは、苦笑いをする。
「それより、早く、食事をいただきましょう」
話を終わらせるために、イルーミクは、2人に食事を促した。
食事が進むと、モカリナが、イルーミクに話しかけた。
「ねえ、イルーミク。 リズディア様は、家ではいつもどんな事をされているの?」
そう言われて、イルーミクは、微妙な表情をする。
「授業の前に、商会の仕事をしていると、お話ししましたけど」
「あ、ああ、そうでしたね」
そう言うと、イルーミクは、微笑を浮かべる。
「本当に、モカリナは、リズディア
「あっ、いえ、そのー、はい」
モカリナは、顔を赤くする。
「リズディア義姉様は、家に入った次の日から、商会の方に顔を出しているのよ。 常に、商会のことを考えているようだわ。 それに、リズディア義姉様って、趣味でお洋服を作ることが好きなのよ。 ほら、この前、あなたに聞かれた、あのドレスも、ここの学生時代に作られたものなのよ。 とてもお上手ですし、新しいお洋服を考えているって聞いたわ。 確か、第5区画のミルミヨルさんのお店のお洋服を参考にして、何か新しいお洋服を考えているみたいよ」
その話を聞いていたモカリナは、唖然とした顔でイルーミクを見ていた。
「あのー、先日のドレスは、リズディア様が作られたのですか?」
それを聞いて、イルーミクは、しまったといった様子をする。
「あっ、ごめん。 今の話は、内緒にしておいてね。 リズディア義姉様の作ったドレスというのは内緒にされているのよ。 だから、ここだけの話にしておいてね」
「はい、分かりました」
モカリナは、笑顔でイルーミクを見る。
その表情は、何かを訴えていた。
「わかったわよ。 今度、近くで見させてあげるわ」
イルーミクは、仕方なさそうに答える。
「ありがとうございます。 とても楽しみにしてます」
モカリナは、嬉しそうに答えた。
その話を聞いていたフィルランカは、ミルミヨルの名前が出てきたので、自分の付き合いのある人が、帝都で有名な商会と取引をしており、さらには、元皇女殿下であるリズディアの目に留まっているのだと知った。
(ミルミヨルさんって、すごい人なんだ。 リズディア様の目にとまるような、お洋服を作れるなんて、・・・。 でも、私ったら、そんな人のお洋服を着ても構わないのだろうか?)
フィルランカは、自分の着ている服を見る。
(大事に着させてもらわないと、バチが当たりそうね)
フィルランカは、自分の着ている服を見ていると、イルーミクは、その様子を見ていた。
その視線をモカリナも感じて、隣のフィルランカを見る。
「フィルランカは、まだ、分かってないみたいね」
モカリナは、またかといった様子でフィルランカをみる。
「ミルミヨルさんが、リズディア様の目にとまったのは、何でだと思う?」
ガッカリしているモカリナが、フィルランカに質問すると、フィルランカは、考える表情をする。
「うーん。 沢山売れた、から?」
「じゃあ、沢山売れた理由は?」
フィルランカは少し考える。
「ミルミヨルさんの作る服が、魅力的だったから?」
「そうね。 でも、ミルミヨルさんの店が注目され始めたのは、6年前なのよ」
ガッカリした様子で、フィルランカに答える。
「6年前といったら、私が、ミルミヨルさんの服を着るようになった頃なのですね」
その話を聞いていた、イルーミクも、ため息を吐いた。
「ねえ、モカリナ。 ひょっとして、残念な子なの?」
それを聞いて、モカリナは、残念そうな表情をする。
「そうなの、とても残念な子なのよ」
フィルランカが、ミルミヨルの服を宣伝していた事で、ミルミヨル達の店が繁盛したことを分かってないと、イルーミクも理解できたようだと、モカリナは思ったのだ。
ただ、モカリナには、自分と同じように思ってくれる人が増えたことで、少し、ホッとしたようだ。
そんな中、フィルランカは、ミルミヨルの店が繁盛した理由、リズディアの目に留まった理由が気になったようだ。
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