第5話 生きるということ

「生きるということ」


うんざりするほど嫌な朝が来る

朝食を食べてトボトボと仕事に出かける

それから自分を殺して生活のために時間を切り売りする

生きていくというのはそういうことだと思っている


やっと仕事が終わってスタスタと家に帰る

夕食を食べてお風呂に入って

お酒を飲んでテレビを見て

そういう毎日を何年も繰り返している


それが時々嫌になって

そういうことがまったく面倒くさくなって

何もかも投げ出して列車に飛び乗ったりしたくなる

それは生きていくことなのかも知れないと思ったりもする


生きていくことは繰り返すことだろうか

生きていくことは単調なことの積み重ねなのだろうか

それでもごくたまに楽しいことがあるから人生はやめられない

悲しいこともや悔しいこともが多くてもやめられない


嫌なことは忘れてしまおう

嬉しいことには感謝しよう

悲しいときは思いっきり泣けばいい

悔しいときは大きな声で叫べばいい


人間って思ったよりもたくましい

きっとなんとかしてしまう

きっと何とかなってしまう

誰かが何とかしてくれることもある


元気を出そう

とりあえず好きなことに没頭しよう

時にははめを外して自分をさらけ出そう

嫌なことから逃げ出してしまおう


僕は何度も逃げ出した

僕は何度も失望した

それから何度も失意して何度も何度もぶっ倒れた

それでもなぜか立ち上がり自分の足でまた歩きだしていた


生きるということはそういうことだと思った

決して楽ではないけれど

決して難しいことじゃあない

今日も明日も明後日も

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