兄弟ができました。でも…
私に弟が出来ました。
ママ、妊娠したんです。
あの時は複雑な気持ちでもあった
弟ばかり可愛がって
私はもう可愛がられないんじゃないかって
でも父は大喜びでした。
息子がいいとずっと言っていました
キャッチボールがしたいと
父、野球好きだったんです。
巨人のファンでした。
実は父
3人兄弟の長男だったのですが、
末っ子の弟は交通事故で亡くなっていて
次男は結婚する気がなく実家に住んでおり
私は血が繋がっていないので
生まれる子供が父の家系の
最後の血でした。
父の両親、要するに私からすると
義理のおばあちゃん
おじいちゃん
みんな大喜びだった
母高齢出産なので、
相当気を使わないといけない状態でした。
でもこの子供が失敗してしまったら
もう父の家族の血は途切れてしまいます
本当に大切な子供でした。
母妊娠発覚し、
でもお店の営業はしないといけないので
母はノンアルで営業を続けていました。
そんなある日
母の右腕として働いていた
チーママ(ママが店長だとすると
副店長のような存在です)が、
ママに多額のバンスを残し
売上を持って飛びました。
母、この時はさすがに応えたみたいです。
本当に信頼してたんだと思う
バンス逃げられても税金が来た時も
詐欺にあった時も
私はここまで絶望に暮れる母は
この時まで見た事がありませんでした。
母、大いに荒れました。
お酒も飲んだと思う
高齢出産にも関わらず
飲酒をして
子供は大丈夫なのか?
と思いましたが
子供は流れることなく、
産まれました。
重度の障害を抱えて。
産まれた瞬間から
発達障害があると言われ
入院必須の状況でした。
それでも父母は
きっと治ると信じ、
弟を大切に育てました。
病院代もすごい額だったと聞いてます
特に父なんてね
毎日仕事終わりに病院寄って
毎日会いに言ってました。
そこから月日は流れ
弟も幼稚園に入る歳になりました。
でも弟は
歩けないし
喋れもしないし
ハイハイすらもできませんでした。
もう、何も自分ですることができないんです。
ずっと笑ったり泣いたりしているだけ
それでも父は諦めずに
ずっと弟をリハビリに通わせていました。
いつか治るいつかきっと
キャッチボールができるようになる
そう信じて。
でも、その願いはかないませんでした。
今この小説を書いている間も
弟は入院しており、
あの時と変わらぬままです。
弟の名前は、隼です。
父が考えました
父、今も弟に暇があれば会いに行き、
あの夢を諦めていません。
生き地獄なんだろうな
多分父もわかってる
もう弟とキャッチボールする夢は
叶わないことを
それでも
必死に弟をどうにか元気にしようと
父はずっとがんばっています
何もできることがなくて、
ごめんなさい。
せめて、私がこれから
受けた恩を返していきます。
きっと父の求めてるものは
そんなことじゃなくて
ただ、弟とキャッチボールできる
その日だとしても。
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