第36話 外伝

ーーー分かり合えないからいがみ合う?


そうじゃないよ。


詰まるところ腹が減るからさーーー



山脈と云える程には高くない、その山々の向こうの『大鬼』にあった集落跡を調査がてらの見物に赴いた時だった。


ロベルト「どういう事だ?」



フランツ「そのままの意味さ」

「要は言葉が通じないとか文化が違うとか」

「それよりもっと根本的な問題って事だよ」

「見てごらん、もう数年経つというのに山のこちら側は禄に植物すら育っていない」

「全部食い荒らして食べ物がないから危険を冒してまで侵略してくるのさ」


ロベルト「そんな事考えた事も無かったな」


フランツ「ロベルト、君は海って見た事あるかい?」


ロベルト「噂には…」

「辺境とはいえ大陸でいえば真ん中よりだからな」

「王国の西の方は海に面してるって聞いた事はあるけど…」

「なんせ辺境生まれ辺境育ちなもんでさ」


フランツ「そうか」

「では、大陸の東側の海、その先の魔大陸については?」


ロベルト「…お伽話だと思う」


フランツ「ははっ」

「そうだね」

「あそこでは数百年も領土問題を抱えて互いに争ってるって話だよ」


ロベルト「みたいだな」

「俺達なんてかわいいもんだ」

「そっちでも皆腹が空いてるって事かい?」


フランツ「…どうだろうね」


ロベルト「なんだよそれ笑」




シードロ「団長!こんな所にいたんですね」

「調査に出した斥候班が戻りましたよ」


ロベルト「あぁ今行く」


「フランツ?」




フランツ「ん?」


「あぁ、ごめんごめん」



ロベルト「今日は野営になるぞ」

「急いで戻ろう」



フランツ「そうだね」



鉄花のナヴィガトリア 外伝


『Take Me Home, Country Roads』

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