第7話 開催

パンッ。


まるで陸上の勝負だ。軽い銃声がした後で、鬼ごっこが始まる。


逃げる男は10名らしい。


名前は山下誠やましたまこと、23才。

目の下に大きな黒子ほくろがある。


村上亮むらかみりょう、20才。

目鼻立ちが整っていて、どちらかと言えばイケメンの部類だろう。


川中康司かわなかこうじ、19才。

スポーツマン、と言った風貌だ。


磯崎昇いそざきのぼる、30才。

営業マンなんだろうか?妙にビッシリとスーツを着込んでいるが、この格好で鬼から逃げきれるんだろうか?


前田博司まえだひろし、35才。

温厚な顔つきをしている。上下ジャージ姿だ。動きやすそうではあるが。


高坂享こうさかすすむ、30才。

ひょろりとした体型をしているが、顔はまるでヤクザのように強面だ。何でついたのか?頬にはキリキズがついている。


香取茂かとりしげる、25才。

小太りで、体が重たそうだ。準備体操をしていたつもりだろうが、それすらもほぼやってないに等しい程の準備体操だった。


鈴木孝すずきたかし、20才。

眼鏡を着けたガリ勉タイプだ。それゆえ、他人よりも運動能力は乏しいんじゃないだろうか?


河村学かわむらまなぶ、22才。

細身の長身で、語尾が少しだけ女の子の様な話し方をしている。おそらくオカマとかそっち系の人だろう。


鈴森寛人すずもりひろと26才。

色黒で長髪の男だ。ごくごく普通のありふれた顔をしている。目立たないけど、人はよさそうだ。


すべての人が一斉に走り出す。鬼は10人いて、すべての鬼が緑のハッピの様なものを羽織りその背中には1~10の数字が記されている。


ただのゲームだ。


勝負を仕掛ける、、そんな言い方をするから、警戒して辞めた男も多いはず。だが、大人になって、これほど本気で走る事があるのだろうか?

少なくても、見た事のない光景だ。

狭い公園の中を、大騒ぎしながら逃げ続ける姿は人が多すぎて、まるでアリンコの様に見えた。

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