微説 海鼠の超短編集。

海鼠さてらいと。

喉が渇いたので

深夜三時過ぎ。


喉が渇いた。


僕はベッドからむくりと起き上がり、暗い階段を降りた。


あぁ、喉が渇いた。


僕はキッチンに行き、冷蔵庫を開けた。

中には闇が拡がっていた。

入れそう、そう思ったので中を覗き込んだ。そしたら指がちょん切れた。僕は切れた指を机に置いて、深くため息をついた。ふと見ると切れた指の先から植物のような芽が生えていた。それは成長して僕の体に巻きついた。

視界が赤くなった。空中を踊るイルカを見て僕はなんだか安心した。

「それどうしたの?」

少女は驚いて僕の拘束を解いてくれた。

ありがとう。僕は硝子の中に居た。


僕は扇風機の羽を止める音が した。


世界が崩れた。僕はハッと目が覚めた。

夢だった。喉が酷く乾いていた。

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