抗神戦記

海鼠さてらいと。

第1話 夢想


大きな木の下に。

彼女は そこに居た。

枝は赤い輪っかを実らせていた。

彼女はそこに首を通そうとしている。


「どうして自ら」

ボクは堪らずそう尋ねた。

彼女は振り返って 笑った。


選ばれなかったヒトに生きる権利は無い。

だから自分から赴くのだと。


「ダメだよ」

偶像の言うことを盲信しないで。


大丈夫、ありがとう。


彼女は足元の木箱を、蹴った。




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