第40話

「何やっているんだ!」

 和葉とのときの一件で、呪いに関して慢心、油断を反省したばかりだろうがぁ!

 僕は呪力を爆発させ、結界を打ち破る。

 そして、すぐさまお嬢様の気配を探り駆けつけた。

 

 ■■■■■

 

「申し訳ありません」

 僕はすぐさまお嬢様に頭を下げる。

「私が油断してがゆえに、お嬢様の身を危険に晒してしまいました」

「別に気にしないわ。そんなことより、敬語。私は二度も同じ命令を下さないといけないのかしら?」

「あ、ごめん」

「それでいいのよ。それで?今回のは何?」

「おそらく何らかの呪怪による現象だと思う。結界系統の力を持ってかなり強力な呪怪だと」

 お化け屋敷に入った瞬間に僕達が受けたのは呪怪による空間断絶系の呪いだろう。

 僕達四人を分断させるように結界を張り、隔離したものと思われる。

 ちなみに、呪怪とは死んだ人間の負の感情が集まり、結晶となってこの世に顕現した存在だ。

「なるほどね。結界系統の呪怪ね。まぁ興味ないわね。さくっと対処して頂戴」

「わかった」

「あ、ちょっと待って」

「何か?」

「せっかく二人なのだし、このまま二人でお化け屋敷を巡らないかしら?」

「え?」

 僕はお嬢様の提案に呆然とする。

「春来と美奈は?」

「あら?彼らに命の危険があるのかしら?」

「これらの呪いを使った呪怪が彼らを襲えば」

「でも、まだ二人は襲われていないのよね?」

「えぇ。まだ」

「なら、放置しておきましょう」

「え?」

「だってあの羽虫、春来とかいう奴はそこそこ戦える人間なのでしょう?」

「いや、うん。そうだね」

 春来は特殊な力を持っている一族の人間で、そこそこ戦える方ではあるだろう。

 春来から聞いたわけではないけど、そこら辺の力は僕が感じ取れる。

「美奈と春来を隔てる結界だけ壊して後は放置して、呪怪に彼らを襲わせましょう。あの女には借りがあるしね。私も彼女の恋の応援をしてあげたほうが良いんじゃないかと思ったのよ」

「あぁ。そういうこと」

 確かに美奈からは春来に対する淡い気持ちを感じる。まだ本人はそれに気づいていないようだが。

 ここであえて呪怪に春来たちを襲わせて美奈を春来に助けさせて、恋心に気づかせてあげるということだろう。

 少し荒治療の気がするのだが……。そもそもうまくいくのか?

「わかりました」

 だが、美玲がそうしたほうが良いというのであれば、そうしたほうがうまくいくのだろう。

「じゃあお願いね」

 僕は美玲の要望通り、春来と美奈を隔てる結界を破壊してあげた。

「出来ました」

「じゃあ私とデートと行きましょうか?」

 僕は悠然と歩き出した美玲についていった。

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