死にたい人の背中を押す

この世界には

死にたい人の背中を押す言葉が溢れている


それは気が付けば鼓膜を震わせていて

何でもないように耳元で囁く


死ぬ勇気を与えてくれる誰かの声が

優しく易しく突き刺さる


歪んだ音を潜る僕は

深く深く沈んで行く


瞳を閉じてしまおうか

直にこの呼吸も止まるから


微睡む心で微笑んで

瞼が重みを増していく


その刹那

吐き出した息が気泡となって

一点の輝きを反射する


誰かの声が誰かの歌が

電波に乗って光を奏でる


苦しみながらもがいて生きる

吐き出すような叫びの歌が

弾けるように世界に満ちる


夢に生きたいと願う言葉を

愛に生きたいと祈る詩を

強く強く響かせている


死にたい人の背中を押す言葉が溢れている

歪んだ音を潜って行く


けれど生きたいと

強く願う声は決して止まずに

今日もどこかに響いている

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