AZ377  シールド装置を破壊せよ



 ドライブエンジンをシールド内部から攻撃するもさらに内側にシールドがあった。

 2枚のシールドが魔弾を防いでしまう。ならばさらに接近して物理で殴りたいところだがこれ以上近づくのは得策ではないだろう。

 エンジンからは常に熱が放射されているためである。


『どうすれば…』


『こういうのは初めてだな…おいビュア。シールドに突っ込まないようにしながらカメラで船体を写せるか?』


『おまかせを』



 ビュアさんのカメラ。ナユカさんがログアウトしたから付近に来ているのだろうか?

 

キュイーン…


 ん?異常な音がドライブエンジンから…ッ!!


「〘加速〙ッ」


 全力でエンジンから距離をとる。〔ジャンプ〕のスキルで跳ね飛ぶように離れたとたん。僕のいたところにドライブエンジンからの熱放射が撒き散らされたようだ。〔危険感知〕がその周囲を危険と判断しているのか視界上に黄色い範囲が表示されている。

 しばらくは近づけない…


ーーーー


スキル:危険感知


カテゴリー:感覚系

ランク:緑

発動:セミパッシブ

概要:何かしらの危険な要因があるエリアを視覚的に表示する


ーーーー


『おい!ギビン!船体の両サイドに2機づつ。艦首に1機。合計5機のそれらしいオブジェクトを見つけたぜ!それ壊せばシールドが剥がれるとかそういうギミックと見た!』


『ギミック搭載型ッ了解』


『戦艦ッ砲撃ッ』


「なっ!?」



 ビュアさんの警告に一瞬身構えたがその砲撃目標は僕ではないらしい。

 大きなジリジリとした嫌な音を響かせた主砲がビームを放っていた。狙いはッ!!ノア!?


『ノア!?』


 ビームの光と激しいスパークが邪魔でノアの状況はよく見えない。だがこんなビーム…一発でも喰らえば…


『な、ナニ!?ノアにもシールドがッ!!うちも知らなかったぞッ!?』


 ビームが止んで。そこにはこの戦艦と似たようなシールドを展開し何とか攻撃を凌いだノアの姿があった。良かった!

 でもビームをそう何発も耐えられるようなシールドとは思えない。急いで僕が…何とかしないとッ!!


『ミカさん!道案内を!!僕がッ。この船を落としますッ』


 正直、僕なんかがこんな敵…ましてや大きな宇宙船を落とせる気はしない。でも…僕がこれを倒さないとおそらくノアは、エルフの人達は壊滅する。


『視界に〔表示〕したぜ。船の対空砲が少なめで最短ルートだ。全速力で突き進めッ』


『助かりますっ〘加速〙ッ』


 視界に現れた線。スキルを駆使すればこんなことも出来るのだろうか?この線を辿れば目的のものがあるようだ。

 〘加速〙を再度使用し、文字通り最速でオブジェクトまで向かう。


 大きく膨らむような航路。そのまま戦艦を右手に捉えながら突き進む。

 もちろん戦艦の砲塔がいくつもこちらをロックオンしているがなんのその。

 直線的に予測できない動きをしながら大きく航路を外さないように進む。


 航路を進むと何やらいかにもエネルギーをシールドに供給していますッと自己主張の激しいオブジェクトが見えてきた。あれだァァァ!!


「【斬鉄リジル】」


 剣にエフェクトが掛かる。その剣を構え飛ぶスピードはそのままにすぎ去り際。一撃でオブジェクトを断ち切った。


 あと4つ!!


 先程よりも砲撃は激しッ!砲塔が進行方向に弾丸をばら撒ッ!?


「カハッ!?」


『ギビンッ!無事か!?すぐに航路をッ』


 一瞬でHPを3割持っていかれた…

 怯む隙も与えてくれない戦艦。吹き飛ばされた先にも既に弾丸の弾幕が展開されている。


「ロックウォール!!」


 咄嗟に物理的な盾として複数の岩壁を〔魔法〕で呼び出す。一瞬しか持たないが数発だけなら弾丸を防ぐことができる。この間に体制を立て直す!


 タイミングを見計らい再び進む。激しい弾幕。見て避けられない弾には進行方向に合わせて〔城壁〕を出現させ弾除けに!



ーーーー


スキル:防壁


カテゴリー:防御系

ランク:緑

発動:アクティブ

概要:MPを消費し物理的な〔防壁〕を生み出す。空中でも設置可能。ただし重力方向に即落下。


ーーーー



『2つ目破壊ッ!』


『おっし!そのまま艦首を落とすぞ!』


 上昇しながら艦首を目指す。今までよりもさらに多い弾丸。〔城壁〕を橋のように出現させそれを壁に突き進む。MPがかなり危ういためここらで魔力回復薬もひとつ消費だ…手痛い出費だが気にしてはいられない。

 〔城壁〕はかなり頑丈だからこのまま突き進…


ドカーンッ!!



 大きな破壊音とともに視界がゆがむ。HPも残り2割まで減らされた…!?一体何が!


『対艦砲撃だッ』


 対艦砲撃!?ちらっと吹き飛ばされた方を見れば、確かにこちらに砲口を向けている大きめの砲台がある…あれが〔城壁〕ごと僕を吹き飛ばしたのか!


「ッ〘加速〙」


 何とか3つ目。艦首のオブジェクトも破壊。甲板ギリギリの低空飛行で弾幕の嵐を駆け抜けどうにか反対側へ抜ける。


『艦底から敵機です!この戦艦。母艦にもなっているようです』


 ぐっ。もう駆け抜けるしかない。


 側面には対艦砲がついてないのが幸運だろうか。再度〔城壁〕を使用し弾除けにする。


 4つ目を破壊。このまま5つ目といきたいが視界に移る敵の機体がこちら目掛けてビームを発射してきていたッ!ちょっと多いって!!


 全力で回避運動。見れば視界上のあちこちへ伸びるビームがジャングルジムのよう…

 


『後方!ミサイルッ』


「ッ!」


 回避不可能。MP消費がもったいないが最終手段でミサイルをすり抜けてみせた。


『〔瞬間移動〕じゃなくて〔テレポート〕ですか!?気になる…!』


『んな状況じゃねぇだろッ!』


ーーーー


スキル:テレポート


カテゴリー:空間系

ランク:赤

発動:アクティブ

概要:MPを大量消費して空間を転移する。移動過程をスキップするのでその間の空間にプレイヤーの当たり判定は無い。移動距離は視界関係なく10m〜50km以内。移動距離に応じてテレポート時間が増加する。1秒〜10分


ーーーー



 間一髪。最短〔テレポート〕でギリギリ間に合った。テレポート先に障害物やビーム攻撃がなかったのも幸運だ。


『コホン…主砲がそろそろ動きます!急いで』


『それを吹き飛ばしたらエンジンを破壊しろッ』


『了解ッ!』


 5つ目を破壊。それと同時に艦船のシールドが剥がれる。


『シールド解除ッ』


敵が多いため。そのまま戦艦を一周。ミカさんの定めた航路からは逸れるため攻撃が激しいが主にビームとミサイルの対策をすればいい。ビームは見て回避が可能。ミサイルは常に自身の周りに〔魔法〕で岩を出現させ〔整列〕。必要に応じて盾代わりに。


 艦尾に到着。


「今度こそ!【打芯トール】!!」



 魔弾を剣で切りつけるとまるで稲妻のような速さで突き進む攻撃。今度こそ着弾一撃でエンジンを全て破壊。大爆発を引き起こしたのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る