Z332  チェイスレター



壁に激突し墜落したウルド。視界上にあるHPを確認しても2割削れた程度で全然大丈夫そうだった。


「痛…くはない…だがいささか攻撃が早くないか?」


「1回ぶつかってみた方がいいと思って」



「一理あるのは認めよう。確かに、経験に勝るものは無いな。だが…」


 言い切る前にこちらに魔弾を飛ばしてきた!?


 滞空してたから当たりはしない。でもなかなか危なかった。


「絶対に捕まえてやる!」


「ふふー。そう簡単には捕まらないよー?」


 見ればわかるほどの闘争心。ウルドも再度魔弾を飛ばしてきながらこちらに飛んできた。

 私も少しはこういう回りくどい挑発ができるようになったようだ。まあ、たぶん同じことされたら私でも簡単に挑発に乗せられるだろうとは思うけど。



 全力で逃げる。建物の間を縫うように飛行し先程までよりもさらに細い場所を最高速度で通過していく。後ろを見れば先程の激突で恐怖心が薄れたのか、ウルドもしっかり着いてきていた。

 こうなると両者速度が変わらないため付かず離れずの拮抗状態になる。ただし、本来なら。


 現状、ウルドは少しづつ私に差を広げられていた。簡潔に言うなら慣れと知識量の違いだろう。

 〔飛行〕はイメージさえ出来れば思い通りに動くことが出来る。でもその軌道にも限度は存在し、ある程度加速した状態で物理法則的に人体に影響の出るほどの急カーブは出来ない。

 つまり曲がり角では絶対に必要最低限の減速をしなければならないのだ。

 最速を求められている場合。この減速をできる限り少なくするライン取りをしなくてはならない。


 私は一応、今までのRBGである程度の慣れとその知識がある。これでもユキには絶対追いつかれるんだろうけど。

 それがウルドには無い。まだ手探り状態で飛んでいるのだ。


 まだ弾幕は張らない。私の後ろを見様見真似で。どうすればいいのか理解できるまでは。



 右折の曲がり角では侵入時少し高度を落とし右に寄せ、寄った段階で今度はその真反対、左スレスレまで上昇しながらできるだけ右折時の飛行ラインの曲線を大きく、ここまでで必要な減速から加速に切り替え、高さもトップ。あとは右折しながら再び降下し重力を活かしながら加速。



 私の中ではこれが一番減速が少なく、カーブ中の速度も速く、そして再びトップスピードに戻るまでの時間が少なくて済む。



 そうしながら飛ぶこと数分。思ったよりも早くウルドはこの〔飛行〕に順応していく。

 こうなってくると2人の距離はどちらかがミスをしない限りほぼ一定となる。


 さあ、次の段階に移ろう。


 拮抗状態の現状、これを打開するためにはほかのスキルを使って自分が加速するか。それとも相手の移動距離を物理的に増やし最速ラインを崩すか。

 前者はウルドにその術がないため却下。つまりこの差を縮めるためには…


「おっと!」


 撃ってくるよね!私の曲がるタイミングで放たれた魔弾が視界の端に見える。即座に追加で減速。身を翻して魔弾を回避してみせる。

 魔弾は回避出来たものの、大幅に私との距離を縮めることに成功したウルド。近付かれたためこちらも弾幕を使ってもいいのだが…



 今度は建物をこまめにジグザグに飛行していく。そして曲がり角のウルドから私が視角から消えたタイミングで急降下、着地からの先程の曲がり角へ!


 同タイミングで曲がり角に侵入してきたウルド。私はそのさらに下を抜け反対方向に全力飛行!


「なっ!?」


 私が視界に写った時には既に加速状態のウルド。急ブレーキから私を追いかけて来るが既にかなりまた開いた距離に悔しそうな表情を見せた。よし♪


 今度はどんどん高度を上げていく。



 建物よりも高度が上がるとそこは障害物の全くない空だ。この状態でカーブしても相手の方が最短で追いかけてこれるため直線的な逃げに移行する。


 本格的に弾幕を放ちこちらの回避による減速を狙った攻撃が飛んでき出す。

 だいぶ動きが良くなったね?こっちも攻撃を開始する。


 両者弾幕を撃ち合うがこの状況だとウルドが圧倒的不利となる。なぜなら前進しながらの戦闘となるからだ。


 こういう場合弾幕を風として捉えるとわかりやすい。


 私から放った弾幕はウルドにとって向かい風となる。逆にウルドの弾幕は私には追い風であり、このふたつは明らかに被弾速が違う。



 さらに開く距離。さぁ。どうする?


「 ファイヤーガン」


「うひゃっ!?」



 今までの比にならない速度の魔弾…いや、魔法が1発。私が弾幕を避けた先に飛んできた。咄嗟に避けたけど、さらに追撃が飛んでくる。


「っ試すにはちょうどいいかも?」



 飛んできた攻撃に〔結界〕を置いて防いでもらう。結界は移動させられないし、私を守るように出現させてもすぐに私は結界外に出てしまう。でも壁代わりにはできるようだ。私を守るようにするより、より小さいキューブみたいにして盾代わりにしてみる。


「なるほど。即席の障害物としては強いのかな?」



 しっかり魔弾と魔法を防いでくれる。


「ファイヤーマン」


 これも魔法。ウルドはまだ攻撃手段が限られてるからだろうけど魔法を弾幕に織り交ぜてくる。


 ファイヤーマンはユキの使う雪だるまちゃんに似た魔法。火の玉が私を追尾してくる。



 魔法には魔法で。私も初めてだからどうなるか分からないけど。


「ウォーターウォール」



 火の玉はあっさりこれに鎮火されたようだ。ただ普通の弾幕は失速は見られるもののウォーターウォールを貫通してくる。

 なるほど。属性特化なのかも。



 結局植物園が見えてきた頃。私は逃げ切り勝利ということでこの鬼ごっこは終わりを告げた。





ーーーー


スキル:魔法


カテゴリー:魔法系

ランク:白

発動:アクティブ

概要:起こしたい現象、範囲、数、効果、属性を指定した定型の魔法をMP消費で出現、発動させる。発動に詠唱が必要。その代わり、発動する魔法は魔弾と違った効果を持つものが多い。


魔法ジャンル

・ノーマル

属性に応じた形態の特殊攻撃

・スピア種

威力、刺突攻撃、弾速がとても早い魔法攻撃を飛ばす。

・ボール種

威力、爆発攻撃のタイプ攻撃。弾速が遅い代わりに爆発タイミング指定可能

・ウォール種

攻撃速度ゼロ。出現箇所から動かない魔法盾。

・マン系

〔霊力〕使用それぞれ精霊型となり自動追尾する。

・ガン系

弾速特化。刺突攻撃では無い

・ニードル系

刺突攻撃特化。どこまでも貫通していく。

・レーザー系

〔電力〕使用。一直線に属性攻撃をゼロタイムで伸ばす。

・トラップ系

〔妖力〕使用。感知型爆発攻撃を任意の場所に設置する。

・スラッシュ系

斬撃攻撃の魔法。

・スタンプ系

打撃攻撃の魔法攻撃。

・エフェクト系

〔魅力〕使用。見た目華やかな飾り。

・マトイ系

〔気力〕使用。普通の物理的ななにかに魔法を重ねる。


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