R×2 24  魅せられた者たち






『さぁ!始まりました!同盟戦争です!今回の対戦同盟はなんと!!あの「リリース」率いるCSF同盟。そして、対する同盟相手は、荒くれ者の集まりが多い「デストロキング」率いる中央集会所同盟!!』


『今回は有名どころが同盟戦争を大規模エリアでするため実況解説が付いたナ〜』



 今回の戦争。あまりにも見たいとの要望が多く。急遽。その時動けた半公式プレイヤーからの解説と、情報が提供されることとなった。




『シェナと!』


『アルがお送りするナ〜』


『一斉に動き出した中央集会所。数にものをいわせて一気に多方面から攻める動き!』



 現地にいなくても、プレイヤーなら運営が飛ばしたカメラから、その場の様子が見れるのである。また、一般にも公開され、生放送として見れるようになっていた。

 もれなく、横には地図も一緒にに表示され、両陣営の細かい場所が把握できるようになっている。


 戦争に参加してないものは、両陣営の位置などで作戦が読めてしまう可能性があり。大事なゲームとしての仕様を無くさないために、一時的に戦争参加者との連絡が取れないようにするなど。マザーが急遽対応に追われ、悲鳴をあげたほどだ。

 なお、このことはナビィしか知らない。



「せんぱーい!!始まりましたっすよー!!」


「うっし!どない感じや?」



 と、ここにも、そんな戦争を観戦しようと、部屋に集まり、飲み会と言わんばかりの酒とツマミを持った少女が、フォログラムの前に現れた。



「まだ始まったばかりなんでなんとも。ユキは後衛博物館辺りに、ナユカは闘技場上空にいますね…。それにしても意外っす。このふたりは常に一緒に居るイメージだったのに」


「これは…。また他にも何かありそうやな?」


「っすよね〜」


「特にナユカは、何し出すか検討もつかへんからな」


「好きっすね〜。ナユカのこと」


「あんなおもろいやつ、なかなかおらへんで?追っかけてみたくなるわぁ…」


 闘技大会で合間見えたナユカ。2人は舐めプかと思われる仕打ちを受けた…。ユキはナユカに1人で2人を相手しろと言ったのである。


 結果、2対1のバトルになった大会デュオの部だが。自分たちは負け。ナユカが見事1人で勝って見せた。


 装備の力?そんなのは、自分達も自信のある装備で挑んだのだ。言い訳にすらならない。


 自分たちは負けた。初めは油断もあったことは認めよう。しかし、後半は本気でナユカに向かって行って、負けたのだ。


 そう、シオリとユメキ。2人が負けたあと、何も言わずにふつふつと燃やした悔しさ。スキルの力なんてものは関係ない。




 自分たちは、初めから最後まで「発想力」に負けたのだ。





 その事実に、闘争心と、いつかリベンジしてやると言う気持ちだけが膨れ上がっていった。




 2人はリアルでナユカの数少ない動画や、ビュアのチャンネルでたまにある生放送を見て研究し始める。




 しかし、いつからだろうか…。それが闘争心から、憧れへと変わっていったのは…。


 気づけば、ナユカのことを追いかけるように動画に張り付くようになり、何かバトルなどでは応援しているでは無いか…。今やお互いナユカのことを褒めちぎる。


 2人はナユカに魅せられた。それは、何か。



 分からない…。けど、彼女を見ていると、応援したくなるのは本心からだ。


「リリースはやっぱ。何か奇策で来ると思うんだよな…。ナユカや他のやつが発案して、ユキが面白がって許可する図が見んでも想像出来る」


「それは何となくわかるっすね!今回も何するか楽しみですよ」


 2人の中でもはやCSF同盟の負けは無い。変な調子に乗った集団など障害ですらないだろうと踏んでいる。


 そして戦争は進んでいき、ついに両陣営がぶつかるタイミングで…。




「歌った!」


「バカッ!そこで歌っても全然聞けねーやんッ!」


 ナユカは歌い出したが、もちろん。闘技場よりもはるか前線の人達に聞こえるはずもない。闘技場はCSF同盟のほぼど真ん中に位置しているのだ。


 2人は口では辛口だがわかっている。




 何かある…。と。




 そしてその期待はやはり叶うのだった。




 途端にCSF同盟側のプレイヤーの背中に現れる魔法陣。そこから放たれるのは、ナユカの歌声だった。


「シオリッ!データあんだろ!!ナユカが展開している魔法陣を出せるか!?」


「だ、出せます!!」


 そして地図に表示された魔法陣のポイントは、全くプレイヤーの分布と変わらない。そして、今も尚、動いているのだ。



 つまり…。




「プレイヤーひとりひとりをスピーカー代わりにしやがったな!?」


「んな馬鹿な!?そんなことできるんっすか!?」


「〔保持〕〔セット〕〔連動〕〔声〕とか…。そんな感じのスキル使えば…。できないことも無いはずや…。ただ…」


「ただ?」


「相当時間とMP使ったはずやで…」




「さ、さすが魅力っすね…。今どんだけバフついてるんっすかね?」



「…魅力だけやない気がするんだよな…。何かまだ隠してやがるんやろな」


「うそっすよね?先輩あんなのと対峙したんっすか?バカっすね?」


「いや、シオリもやからな?」



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