その後は暫く話した。
親が憎くて仕方無い気持ちは変わらない事。悪魔
愛情の正体とはきっと、それを抱えている者の自己都合だ。子供とは親が幸せになる為に生み出される、逃げ場を用意されていない人形。こんな考えを抱いてしまっている時点で
自分は世界で一番不幸だなんて言いたい訳じゃない。ただ、家族が憎くて仕方無いだけ。死んでいなくなったというのに、呪いのようにまだ頭の中で生きている。私が覚える、あらゆる苦痛の根源として。
解決策が出ないまま、ただ話す事が無くなった。やっぱり人と話すのは好きじゃないし、意味を持つ事も少ないなと思いながら、どうすればいいのか見当も付かなくて黙っていた。いや、もう遅いから帯刀を帰らせないと。
そう考えが浮かんだ瞬間帯刀が、ずっと考えている事があると切り出した。私の動きを封じるようなタイミングでそう言った帯刀は、市民交流センターの割れた窓から差し込む月光を浴びて、輪郭だけが白く浮き上がっていた。それ以外は殆ど闇に潰れているのに、見た事の無い顔をしていると分かった。
寒気がしたのを覚えている。どうしてか、知らない人に見えてしまって。
昔から気弱で、友達も決して多くは無くて、絵を描くのが好きな、寂しいとは絶対に言わない女の子。そう抱いて来た認識が崩れ去る話を、帯刀は始めた。
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