15:俺の最期!
-------------
--------
-----
俺は、夢を見ていた。
先程まで前世、あにきと慕っていた猫の腹の中で、大泣きして寝ちまったのだ。
ダセェ。
そんな俺の見ていた夢、それは前世の夢だった。
前世の、俺の最期の時の夢。
俺は歩いていた。
口には丸々太ったネズミを咥え。俺は心底、得意満面だった。
その獲物を、俺は“あにき”の元へ届ける為に、ずんずんと歩いていたのだ。
俺の歩いていた場所は大きな道の隣の歩道だった。
周りの人間が口にネズミを咥えた自分をチラチラと見ている事を、その時の俺は一切気にしちゃいなかった。
ただ、俺は“あにき”にネズミを届けたかった。
役に立つ奴だと思って欲しくて、傍に居て迷惑な奴だと思ってほしくなくて。
俺は“あにき”の傍に居たかったのだ。
俺は常日頃、その“あにき”から人間の居る場所の、この大きな道には飛び出すなと言い聞かせられていたため、大きな道路ではなくわざわざ狭い歩道を通って、回り道をして帰っていたのだ。
俺は”あにき”の言いつけは守るんだ。
しかし、次の瞬間、俺の運命は変わった。
道の向こう側に俺の慕う“あにき”の姿を見た気がしたのだ。
その瞬間、俺の中で“あにき”の言葉は消えていた。
ただ、道の向こう側に見えた気がした“あにき”に会いたくて俺は道に飛び出したのだ。
あれほど、飛び出すなと言われていたのに。
ビッビー!
けたたましい音が、俺の鼓膜をつんざいた。
そして一瞬、俺は道の真ん中で止まってしまった。
次の瞬間には、目の前まで来ていた大きなナニかに吹き飛ばされていた。
口にくわえていたネズミも飛んだ。
俺が吹き飛んで、地面に落ちるその時。
俺は道の向こうに居る“あにき”の姿を一目見ようと顔を上げた。
しかし、その次の瞬間は二度と訪れなかった。
俺はその瞬間、死んだのだ。
行きたい場所を見定めたらまっしぐらに走ってしまう、それは猫の性である。
俺はただ、行きたい場所へと走ったのだった。
「あにき……」
俺は育ての親の温もりを求め、小さく呟いた。
-----------------------
あにき、俺、上手に書けたんじゃないっすか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます