第91話 剣闘祭 閉会式

「うぅ…朝日が眩しい…」




打ち上げで盛り上がって、徹夜してしまった。


といっても俺は前世の社畜経験のおかげで、徹夜に慣れているので何ともないのだが。




クレアとイザベルは4時ごろに寝落ちして、アイリスとスーはさっきまで起きていたが…


どうやら寝落ちしてしまったようだ。




早速昨日もらったフレンドリーアミュレットを付け、4人を起こさないようにそっと部屋を出て大熊宿の裏に出た。




「おはようアルフレッドきゅん。昨日はお楽しみだったネ~!!」




「おはようメリッサ。その言い方は誤解を生むからやめろ…」




「冗談だヨ~徹夜明けみたいだけど今日も早朝訓練をするのカ?」




「ああ。一日でも欠かしたらその後怠けてやらなくなりそうだからな。」




「偉いネ~」




剣闘祭1年生の部も終わり、今日から2年生の部の観戦で稽古以外に訓練する時間がない。


余計にサボるわけにはいかないのだ。




「ところでメリッサは剣闘祭最後まで残るのか?」




「もちろんだヨ!!稼ぎ時だからネ~!!」




「そうか。じゃあまた賭博勝負しような。」




「今度はうちが勝つからナ!!」




「俺の方こそ負けるつもりはないよ。じゃあまたな。」




「またネ~!!」




それから早朝訓練を終え、4人と合流してコロッセオへ行った。


俺はもちろん賭場に行き、全16試合で合計金貨7枚と大銀貨19枚、小銀貨8枚の利益を上げた。




「さて…師範のところに行くか!!」




昨日稽古を中断させてしまったお詫びと、気を使ってもらったお礼もしなければ。




「師範、弟子アルフレッド到着しました!!」




「やっときたのじゃ…ふむ、その様子だと解決したようじゃな。」




「はい!!お気遣いありがとうございました!!」




「妾は大人じゃからな!!気にしなくてよいじゃ!!」




「今日も地下施設で稽古ですか?」




「うむ。妾は仕事で忙しいから行けないが…励むのじゃぞ!!」




「はい!!」




ひたすら案山子に打ち込み、定時に師範へ顔を出してから宿に帰還した。


5人で楽しく夕食を取り、その後訓練してから眠りについた。




それから起床→早朝訓練→賭博→稽古→夜間訓練→就寝というサイクルで過ごし、2週間が経った。




長く感じた剣闘祭だったが、ついに閉会式の日がやって来た。


大きな催しが終わった後のコロッセオには哀愁が漂っていた。




メリッサとの賭博勝負は5回行い、結果2:3で負けてしまった。


悔しかったが、大儲けして所持金が5,000,000円を超えたので良しとする。




アインザス校の戦果について、2年生の部はエレナ先輩が活躍したものの決勝戦敗退コルセア校に負けて惜しくも2位。


3年生の部は圧倒的な力量で、特に苦戦もなく優勝した。




「これより、閉会式を始めます!!」




司会がそう宣言すると、ファンファーレが演奏され始めた。


開会式のものとは異なり、どこか寂しげで儚げなものだ。




「まずは表彰式を執り行います!!各学年の部優勝校の選手は舞台に上がってください!!」




「ほら、行くぞアルフレッド!!」




「あ、ああ!!」




2、3年生の部優勝校の選手たちに続くようにして、舞台に上がった。




「1年生の部優勝、アインザス校!!」




「はい!!」




返事をし、1歩前に出た。


打ち上げの時に誰が表彰状を受け取るか議論をしたが、満場一致で大将の俺ということになったのだ。




「貴殿らが剣闘祭にて優秀な成績を収めたことをここに授与するのじゃ!!」




両手で表彰状を受け取り、深く頭を下げた。


師範はこういった場面で緊張して言い間違えしそうだが…そうでもなかった。




残りの表彰状授与も特に問題なく終了することができた。




優勝賞品は商会での商品券金貨10枚分だった。


それとは別に優勝校に支援金が贈られるようで、アランが大喜びしていた。




『まさかその金に手つけないよな…?』




表彰式が終わり、再び舞台を降りて整列した。




「続いてブルーノ帝国総ギルドマスター、エレノア様からのお話がある!!」




「まずは皆の者、剣闘祭お疲れ様なのじゃ。このように剣闘祭を観戦したのは初めてじゃったが…とても有意義な時間だったのじゃ。というのも、妾は後継者を見つけたのじゃ!!」




「なんとっ!!」




「一体誰が…?」




観客や選手たちの間にどよめきが広がった。




「…アインザス校1年アルフレッド、舞台に上がるのじゃ!!」




「はい!!」




周囲から畏敬や嫉妬の眼差しを受けつつ、舞台に上がった。




「麻薬を服用して化け物へと変化した選手に誰よりも早く駆け付け、恐れず立ち向かう勇気。そしてその勇気に見合う才能と技量…これほど妾の後継者にふさわしい人材はいないのじゃ!!賛成の者は歓声を上げるのじゃ!!」




「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!」




舞台の下で整列している選手たちの間では不満があったようだが…


観客がコロッセオが震えるほどの歓声を上げたので打ち消されたようだ。




「では正式に、アルフレッドを妾の後継者とするのじゃ!!これにて剣闘祭を終了するのじゃ!!」




「おおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」

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